野菜の病害を診断する際、病気ごとに特徴をとらえることが大事です。病気は種類によって防除方法も異なるため、誤った診断は大きな減収に繋がるおそれがあります。ここでは、主な園芸作物の病害を並べて、それぞれの特徴を解説します。
糸状菌はいわゆる「カビ」と呼ばれているもので、植物の病害の8割以上が糸状菌の被害といわれています。風や雨で飛ばされた胞子が植物体の表面に付着し、菌糸を伸ばして養分を吸収し、新たな胞子を作る、といった具合に広がっていきます。被害を受けた箇所は、変色や変形、腐敗などの症状が現れます。
糸状菌が原因のトマト斑点病
●イネいもち病 ●ムギ赤かび病 ●リンゴの黒星病
●キュウリのべと病 ●メロンのべと病 ●野菜や花の灰色かび病 など
糸状菌よりも小さい単細胞の生物で、糸状菌のように菌糸や胞子を形成しません。植物へは直接表皮を突き破ることはなく、主に傷口や気孔などの自然開口部から侵入します。水中を泳いで移動するため、雨や水やり、水滴の泥はね等が伝染の原因になります。
細菌が原因のキュウリ斑点細菌病
●ダイコン軟腐病 ●ピーマン青枯病 ●キュウリ斑点細菌病
●カンキツかいよう病 など
細胞を持たないため、生物学上は生物として扱われていない構造体です。電子顕微鏡を使わないと確認できないほど、大きさは非常に微小です。自力で伝染することはなく、アブラムシやウンカなどの吸汁性害虫や土壌微生物などが媒介して伝染しますが、TMV(タバコモザイクウイルス)など少数のものは人の手指や農具による傷から侵入、発病します。ウイルスは一度感染すると薬剤で防除することができないため、伝染源となる病植物と、伝搬者(ベクター)となるアブラムシやアザミウマ、コナジラミなどの駆除などが防除の中心となります。
ウイルスを媒介する主なベクター
●キュウリモザイク病 ●トマト黄化えそ病 ●バレイショ葉巻病 など