診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
穂いもちは発生部位によって呼び名が異なるが、発生すると、減収、品質低下を招くので最も影響が大きい。
●籾いもち:内穎より外穎で発病しやすい。早期の感染では蒼白色になり枯死し、後期感染は不完全米の増加を招く。
●枝梗いもち:枝梗が褐変枯死し籾は不稔になる。病徴が進むと灰白色となり、折れやすくなる。枝梗節から穂軸節や穂首節へ病斑が進展する現象を「枯れ下がり」という。
●穂首いもち:出穂初期に罹病すると水分供給が断たれ白穂になる。中〜後期の感染では著しく稔実が悪くなる。
●節いもち:葉節部が感染すると黒く凹んだ病斑がスポンジ状になり折れて倒伏しやすくなる。
止葉、次葉に発生した葉いもち病斑は穂いもちの主要な伝染源となる。出穂直後は籾が最も感染しやすく、ついで穂首、枝梗の順となる。籾や枝梗は濡れ易く、結露時間が長いため、出穂期前後の連続した降雨は穂いもち感染を助長する。
葉いもちとの体系防除が基本となる。出穂前に上位葉での葉いもちの発生を抑え、出穂前後の防除でいもち病菌の穂への侵入を防ぐ。耕種的防除、薬剤防除とも葉いもちに準じ、発生予察情報を利用して適期に薬剤散布を行う。
育苗箱施用剤は、エバーゴルフォルテ、スタウトおよびルーチンなどイソチアニルを含む混合剤、アプライ、ブイゲットなどチアジニルを含む混合剤、トリプルキック、ゴウケツバスターなどトリプロカルブを含む混合剤、デジタルコラトップ、ビーム、ブーン、レシードプラス、Dr. オリゼ等。初期害虫対象の殺虫剤との混合剤が多い。
本田期散布剤は、アチーブ、アミスター、オリゼメート、オリザトップ、オリブライト、カスラブサイド、キタジンP、ゴウケツ、コラトップ、サンブラス、ダブルカット、トライ、ノンブラス、ビーム、フジワン、ブイゲット、ブラシン、ブラステクト、ミギワ、ラテラ、ラブサイド、ルーチン等。
本田散布剤には、田植え時の側条施用のほか、有人ヘリや無人航空機(無人ヘリやドローン)による空中散布、水稲用速度連動式少量散布も可能な薬剤もある。地域や営農形態に合わせて薬剤を選択できる。
※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)
・殺虫剤(IRAC)2022年6月版(ver.10.3) *PDFデータ
・殺菌剤(FRAC)2022年6月版 *PDFデータ
・除草剤(HRAC)2020年3月現在 *Excelデータ
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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