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最新情報 植物病害

マンゴー軸腐病

じくぐされびょう

Stem-end rot

2015-07-15 最終更新

病徴:
果実,果房および緑枝で発生する.果実では収穫後に症状が発生し,はじめ果梗部の周辺から褐色または茶褐色の病斑が現れ,その後水浸状となって急速に拡大し,果実全体が黒変,軟化,腐敗する.湿度が高い場合,病斑部には灰白色の気中菌糸が密生する.果房では4~7月にかけて発生がみられ,おもに摘蕾や摘果後の傷口から黒褐色の病斑が縦長に進行する.さらに症状が悪化すると果房は萎縮して枯れ込む.緑枝では剪定後の7~9月に発生が多くみられ,おもに剪定の傷口から黒色または黒褐色の病斑が縦長に進行し,枝内部の木質部まで達して褐変する.多くの場合,病斑の進行は途中で停止して局部病斑となって枝上に残る.樹勢の弱い若年樹では病徴の進行が早く,樹全体が枯死する場合もある.果実,果房および緑枝の病斑部には黒色,球形の分生子殻が多数形成され,ときに黒褐色の分生子を吐出する.

病原:
Lasiodiplodia theobromae(Patouillard)Griffon & Maublanc
分生子果不完全菌類に属する.病斑部の子座内に分生子殻を形成する.分生子殻は黒色,球形~偏球形,大きさ160~450(平均294)μmで1子座内に1~数個形成される.分生子は分生子殻内で形成され,はじめ無色,広楕円形,単細胞,大きさ19~24×10~17(平均21×13)μmで,孔口より吐出後,暗褐色,広楕円形で2細胞となり,大きさ19~39×12~19(平均23×14)μmである.PDA培地上で15~40℃の範囲で生育し,適温は30℃である.本種は多犯性でマンゴー以外にバナナ,パパイア,パッションフルーツなど熱帯・亜熱帯産果樹類に病原性を有する.

伝染:
病原菌は樹冠下に放置された罹病残渣中で生存し,これが一次伝染源になると考えられる.生育期には樹上の罹病した緑枝や果房の病斑から分生子が飛散してまん延する.

参考:
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002737558

(2011.11.24 澤岻哲也)

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マンゴー軸腐病.果梗基部からの病斑形成(澤岻哲也)

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マンゴー軸腐病.果梗基部からの病斑形成(澤岻哲也)

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マンゴー軸腐病.果房で黒色病斑が縦長に進行(澤岻哲也)

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マンゴー軸腐病.枯死枝上の菌体(分生子殻)形成(澤岻哲也)