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ニンジンハネオレバエ

Psila (Synaphopsila) nartshukae Shatalkin

英名:red carrot fly

ハエ目ハネオレバエ科

2015-07-15 最終更新

本種の発生記録は1987年である.北海道阿寒町にて1985年3~4月に地下貯蔵されていたニンジンから幼虫や蛹が発見され,幼虫やそれらから得られた成虫の形態的特徴から新種としてニンジンハネオレバエと記載された.青森県における被害の発生は春播トンネル栽培ニンジンの根部裂孔症状として2002年に発見され,2004年6~7月に被害根から採取した幼虫を飼育して得られた成虫の形態からニンジンハネオレバエと確認している.北海道や青森県以外では,千葉県や茨城県のニンジン産地で発生している.なお,キクノネハネオレバエ(Psila nigricornis Meigen)による同様のニンジン根の裂孔症状が愛知県(2005),三重県(2007)および島根県(2009)で報告されている.

形態:
成虫の体長は約5~6mm,雌は雄より大きい.翅長は約4~5mm,前翅は全体が透明で,翅脈は黄褐色.頭部の複眼は褐色,顔・頬は褐色,単眼板は黒色,触角の第1・2節は褐色である.胸部の中胸背板の地色は褐色,3本の黒い縦線のうち,左右2本は細く不明瞭,雄の縦線はとくに不明瞭である.小楯板は褐色~黒褐色,後小楯板は黒色で光沢がある.平均棍は黄白色,腹部は黒色で光沢がある.脚は全て黄褐色である.卵は約0.8mm長で縦溝がある.幼虫は乳白~淡黄色で約10mm長で蛹化する.

加害作物:
【野菜】ニンジン

被害と生態:
青森県での被害は6月下旬~7月上旬に収穫する春播ニンジンにみられ,裂孔症状を呈する.以後の作型での被害は確認されていない.成虫は黄色粘着シートでトラップでき,5月上旬~6月上旬の間に誘殺される.発生の早晩は春雪の有無に左右されるが,発生期間は概ね20日間で,越冬態は蛹と考える.雌成虫は腹部に約20個の卵を保有し地際の茎葉に産卵する.20℃下では約1週間で孵化し,幼虫は根部の表層部に潜り食害するが,肉部への食入はほとんどみられない.蛹化は7月中旬ころから土中で行われ,羽化には15~20℃下で45~65日を要する.実験的に畑に埋め戻した蛹は9月下旬~10月上旬に羽化したことから,青森県では年2回発生していると考える.なお,ニンジン以外の寄生植物は不明である.
(2011.10.3 及川健)

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ニンジンハネオレバエ成虫(及川健)

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ニンジンハネオレバエ幼虫(及川健)

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ニンジンハネオレバエ蛹(及川健)

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ニンジンハネオレバエ卵(及川健)

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収穫時の被害症状(及川健)

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幼虫脱出後の被害根断面(及川健)