2015-07-15 最終更新
近年急速に分布を拡大し,従来から生息地とされていた東~南アジア,オセアニアに加え,南北アメリカ,中東,アフリカでも発生が確認されている.日本ではマンゴー,ナシなどで被害が増大している.2008年に高知県,2009年に沖縄県でピーマン,シシトウ,マンゴーに寄生する新規系統が確認された.
形態:
成虫の体長は雌0.9mm,雄0.8mm.体色は全体的に黄色で前翅は灰色.雌成虫の腹部各節に横縞を有するが,個体差が大きい.1齢幼虫は黄白色,2齢幼虫は橙黄色.新規系統は形態では区別できない.
加害作物:
【野菜】イチゴ,トウガラシ類(シシトウ,ピーマン)ほか.
【果樹】イチジク,カキ,カンキツ,キウイ,ナシ,ブドウ,マンゴーほか.
【特用作物】チャ
【花卉】トルコギキョウ
【庭木】アジサイ,イヌマキ,サザンカ,サツキ,ツツジ,ツバキほか.
被害と生態:
各種植物の葉,果実を加害する.硬化した葉や成熟した果実は好まず,新芽,新梢,幼果等で増殖,加害する.ピーマン,シシトウでは被害葉は萎縮し,生長点への加害は芯止まりを引き起こす.被害の様相はチャノホコリダニに酷似する.果実にはミナミキイロアザミウマによるものと同様のかすり上の障害が生じる.マンゴーでは新梢,花穂,および幼果を加害する.果実表面が象皮状または鮫肌状になり,商品価値が著しく低下する.ナシでは徒長枝などの新葉で被害が多く,被害葉は葉表側に湾曲し,黒褐色に変色することもある.被害形態はニセナシサビダニに似る.トルコギキョウでは花首部分のコルク化,蕾の矮化,新葉の奇形および草丈の伸長抑制が起こる.殺虫剤感受性の低下も報告されている.
(2011.10.24 土`田聡)
既刊p544:カンキツ,p641:チャ,p958:アジサイを参照