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タバココナジラミ

Bemisia tabaci (Gennadius)

英名:sweetpotato whitefly, silverleaf whitefly

カメムシ目コナジラミ科

2015-07-15 最終更新

世界各地に広く分布し,形態的には区別できないが,寄主植物や生物学的特徴が異なる20以上のバイオタイプが報告されている.バイオタイプ間で交雑が困難な場合もあるため,タバココナジラミは複数の潜在種(cryptic species)からなる種複合(species complex)と考えられる.
日本国内では,これまでにバイオタイプB,Q,JpL,Nauruなどの分布が知られている.バイオタイプBは1989年に,バイオタイプQは2004年頃にそれぞれ海外から侵入した.バイオタイプBは1994年に別種B.argentifoliiとして記載され,国内でも一時シルバーリーフコナジラミと呼ばれたが,現在ではタバココナジラミのバイオタイプとして扱われている.形態学的な手法によるバイオタイプの判別は困難で,DNAの塩基配列情報によって行われる.

形態:
成虫は体長0.8mm,体色は淡黄色,翅は白色である.オンシツコナジラミより全体にほっそりしていて,静止時に左右の翅が重なり合わない.幼虫は淡黄色,長楕円形で平たい.4齢幼虫は体長0.8〜1mmで中央部が盛り上がり,周辺部は薄い.卵は長楕円形,長径約0.2mm,黄緑色で後に黒化する.

加害作物:
【畑作物】サツマイモ,ダイズ.
【野菜】アスパラガス,エダマメ,カボチャ,キュウリ,サヤインゲン,トマト,ナス,ピーマン,メロン.
【花卉】トルコギキョウ,ハイビスカス.
バイオタイプBとQは,ナス科,ウリ科,キク科を中心に国内でそれぞれ30科88種および30科64種の寄主植物が知られており,数多くの野菜,花卉,畑作物を加害する.バイオタイプJpLとNauruは野生植物を中心に発生し,農作物への加害はまれである.

被害と生態:

タバココナジラミの成・幼虫は寄主植物の師管液を吸汁する.孵化直後の1齢幼虫は歩行するが,その後は葉裏などに固着して生活する.幼虫期は4齢まであり,幼虫から成虫が羽化する不完全変態を行う.
バイオタイプBとQが高密度で発生すると吸汁によって農作物が萎凋するほか,幼虫が出した排泄物(甘露)に発生するすす病で茎葉や果実が汚損し,収穫物の商品価値が低下する.また,バイオタイプBの幼虫による吸汁で寄主植物の茎葉や果実が退色・白化する現象が知られている.トマトでは果実が部分的に緑色のままとなる着色異常が起こり,品質も劣化する.植物体の白化現象や果実の着色異常は,頻度は低いもののバイオタイプQによっても引き起こされる.
吸汁による直接的な被害に加えて,バイオタイプBとQはトマト黄化葉巻病の病原ウイルス(TYLCV)やウリ類退緑黄化ウイルス(CCYV)を媒介することにより,トマトやメロン,キュウリなどの野菜生産に重大な被害をもたらす.両バイオタイプとも殺虫剤抵抗性が発達しており,特にバイオタイプQはネオニコチノイド系殺虫剤に対する抵抗性が強い.

バイオタイプBとQは休眠を持たず,耐寒性も低いため,九州南部のような温暖地以外では野外越冬は困難であるが,冬期も栽培されるビニールハウスや温室などで越冬している.バイオタイプBはほぼ日本全土,バイオタイプQは東北地方以南で,施設栽培圃場を中心に発生が見られる.
(2012.4.19 本多健一郎)

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タバココナジラミ成虫(全農教)

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タバココナジラミ1齢幼虫(全農教)

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タバココナジラミ4齢幼虫(全農教)

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タバココナジラミ卵(全農教)

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トマト果実の着色異常(全農教)

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トマトすす病の被害(全農教)

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キュウリ葉のタバココナジラミ(全農教)