2015-07-15 最終更新
1987年に沖縄県石垣島で最初に発生が確認された侵入害虫で,その後,沖縄県では定着し,90年以降国内では石垣島,沖縄本島,南大東島,屋久島,対馬,兵庫,静岡,伊豆大島,御蔵島,国外では南アフリカ~インド,インドネシア,ベトナム,台湾,オーストラリア,クック諸島,グァムなどに分布する.東南アジアではアブラナ科野菜の主要害虫の一つであり,幼虫はキャベツ,ブロッコリーなどを食害する.
形態:
成虫は全体黄褐色で開張は約25mm,雄の前翅前縁に黒色の毛束がある.幼虫の体長は約15mmに達する.頭部は淡黄褐色で体色は暗緑色,背線,側線に5本の白線が走る.各節の刺毛基板の黒斑3対が目立つ.
加害作物:
【野菜】カリフラワー,キャベツ,ダイコン,ハクサイ,ブロッコリーなどアブラナ科野菜.
【花卉】クレオメ,ハボタン.
被害と生態:
幼虫は数十頭の集団で食害するため,発生部位は葉脈などを残して激しい食害痕となる.とくにキャベツおよびハボタン,ハクサイの結球初期では芯部に食害が集中して著しい被害となる.伊豆大島では秋期の発生が多く,晩秋まで発生する.静岡県では2月にも幼虫が認められている.休眠性は持たず,年に数回発生を繰り返していると思われる.
卵は淡黄色で数十個がうろこ状に重なった卵塊として葉裏などに産み付けられる.孵化した幼虫は移動分散することなく,集団のまま食害を続けることが多い.幼虫は少量の糸を出し,若干葉を綴った内部や,糸の下にいることが多い.幼虫は4齢を経過し,葉上あるいは地表面で葉や土を巻きこんだ薄い繭を作り,その中で蛹化する.
国外ではアブラナ科作物のほか,キュウリ,メロン,スイカなどウリ科,レタスなどのキク科でも発生が認められている.
(2011.10.16 竹内浩二)