診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
吸汁加害による生育抑制。排泄物に発生するすす病による汚れと同化作用阻害。なお、ジャガイモヒゲナガアブラムシに加害されると、葉では被害部が黄化、ナス果実では被害部の周囲が着色せず、商品価値が無くなる。ピーマン果実では吸汁された部分が退色あるいは黒変する。いずれのアブラムシもキュウリモザイクウイルスなどを媒介する。
ワタアブラムシ:キュウリなどウリ科、ナスなどナス科、イチゴ、オクラ、サトイモ、インゲン等。モモアカアブラムシ:ナスなどナス科、ハクサイなどアブラナ科、ホウレンソウ等。ジャガイモヒゲナガアブラムシ:ナスなどナス科、マメ類等。チューリップヒゲナガアブラムシ:ナス、ピーマンなどナス科等。
圃場における発生は、主に苗での持ち込みと有翅虫の飛来による。施設栽培では、秋季と翌年3月頃以降有翅虫が飛来して発生が始まることが多いが、西南暖地では冬季にも有翅虫の飛来がみられ、侵入すると冬季でも増殖が激しい。露地では5〜10月にかけて発生が多い。通常、寒冷地では秋に雄成虫が現れて交尾し、産まれた卵で越冬するが、温暖な地域では冬季も無翅の胎生雌や幼虫で過ごす個体が多い。施設内では時期を問わず、露地では春から秋にかけて単為生殖で繁殖する。ワタアブラムシとジャガイモヒゲナガアブラムシは中・下位葉に多く寄生するが、モモアカアブラムシとチューリップヒゲナガアブラムシは新梢部によく寄生する。ジャガイモヒゲナガアブラムシは比較的小さな集団を形成し、まばらに寄生するが、他の3種は大きな集団を形成し、びっしりと成・幼虫が群がる。寄生部位は葉、花、果実、新梢部である。
施設では防虫ネットによる換気窓の被覆、シルバーマルチ、UVカットフィルムの展張が飛来防止に有効。ただし、UVカットフィルムはナスでは着色不良になるため使用不可。露地ではシルバーマルチ、シルバーテープが飛来防止に有効。施設では3、4月頃から、寄生蜂などの土着天敵類がよく働く。露地では6、7月頃からテントウムシ類、寄生蜂、クサカゲロウなど各種天敵がアブラムシ類の密度抑制に重要な働きをしている。
生物農薬としてコレマンアブラバチ剤(アフィパール、コレトップ)、ギフアブラバチ剤(ギフパール)、ナミテントウ剤(テントップ、ナミトップ)、ヒメカメノコテントウ(カメノコS)、ゴッツA等がある。なお、コレマンアブラバチはジャガイモヒゲナガアブラムシとチューリップヒゲナガアブラムシに、ギフアブラバチはワタアブラムシに効果がないので発生種を見極めること。
アクタラ、アドマイヤー・ブルースカイ、ウララ、コルト、スタークル・アルバリン・アントム、ダントツ、チェス、トランスフォーム、バリアード、プリロッソ・ベネビアOD・ベリマークSC、ベストガード、モスピラン、モベント等。なお、作物によって登録内容が異なるので注意する。
※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)
・殺虫剤(IRAC)2022年6月版(ver.10.3) *PDFデータ
・殺菌剤(FRAC)2022年6月版 *PDFデータ
・除草剤(HRAC)2020年3月現在 *Excelデータ
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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