診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
コナジラミ類による主な被害は、成・幼虫の吸汁加害による生育抑制と排泄物に発生するすす病による汚れおよびそれに伴う同化作用の阻害。しかし、タバココナジラミのバイオタイプBの寄生によって、トマト果実では着色ムラや白班症が生じ、さらにピーマン、シシトウでは、生長点部および果実が白化する被害が出る。バイオタイプBはピーマン、シシトウでの増殖は少ないが、バイオタイプQはピーマン、シシトウでも増殖が激しく、すす病が発生しやすい。なお、バイオタイプQの寄生によって生長点部や果実が白化することは少なく、寄生密度が高くなると葉脈に沿って黄化がみられる程度である。タバココナジラミはバイオタイプの違いにかかわらず、トマト黄化葉巻ウイルスを媒介する。
ナス、トマト、ピーマンなどナス科作物、キュウリなどのウリ科作物、インゲン等(両種共通)。アブラナ科作物(タバココナジラミのバイオタイプB、同Q)
露地での発生は少なく、施設栽培で多い。オンシツコナジラミは野外で越冬できるが、タバココナジラミ(バイオタイプB、同Q)は野外で越冬できず、施設が主たる越冬場所と考えられる。発生は、主に苗による持ち込みと野外からの成虫飛び込みから始まる。通常、気温が高くなる3月以降多くなるが、加温施設では冬季でも増殖が激しく、多発することがある。産卵は主に葉裏に行う。ふ化幼虫は歩行するが、間もなく固着生活に入り、4齢を経て成虫になる。成虫は上位葉に移動し、吸汁加害する。25℃で卵から成虫になるまでの期間は、両種ともほぼ同じで約23日である。成虫は黄色によく誘引され、黄色粘着板で発生状況を把握できる。
換気窓への防虫ネット被覆、UVカットフィルムの展張は成虫の侵入防止に有効。天敵のオンシツツヤコバチ(エンストリップ、ツヤコバチEF30、ツヤトップ、ツヤパラリ)、サバクツヤコバチ(エルカード、サバクトップ)、チチュウカイツヤコバチ剤(ベミパール)、スワルスキーカブリダニ剤(スワマイト、スワルスキー、スワルスキープラス)、リモニカカブリダニ剤(リモニカ)等が有効。微生物資材としてマイコタール、プリファード、ボタニガードESがある。発生が多い時は薬剤による防除が必要。
アクタラ、アグリメック、アドマイヤー・ブルースカイ、アニキ、アプロード、ウララ、クリアザール、グレーシア、コルト、コロマイト、サフオイル、サンクリスタル・アーリーセーフ、サンマイト、スタークル・アルバリン、ダントツ、チェス、ディアナSC、トランスフォーム、粘着くん、ハチハチ、プリロッソ・ベネビアOD、プレバソン、ベストガード、モスピラン、モベント、ラノー等。作物によって登録内容が異なるので注意。
※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)
・殺虫剤(IRAC)2022年6月版(ver.10.3) *PDFデータ
・殺菌剤(FRAC)2022年6月版 *PDFデータ
・除草剤(HRAC)2020年3月現在 *Excelデータ
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
稲の病害虫と雑草 |
ムギ類の病害虫 |
豆類の病害虫 |
ジャガイモの病害虫 |
サツマイモの病害虫 |
アブラナ科野菜の病害虫 |
トマト・ナス・ピーマンの病害虫 |
キュウリ・スイカ・メロンの病害虫 |
イチゴの病害虫 |
ネギ類の病害虫 |
菜園の病害虫 |
カンキツの病害虫 |
リンゴの病害虫 |
日本ナシの病害虫 |
西洋ナシの病害虫 |
モモの病害虫 |
カキの病害虫 |
ブドウの病害虫 |
花の病害虫 |
難防除雑草