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トマト・ナス・ピーマンの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

アザミウマ類(1)

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ミナミキイロアザミウマ雌成虫。体長1.2〜1.4mm

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ピーマン果実の被害(ミナミキイロアザミウマ)

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ナス果実のケロイド状被害(ミナミキイロアザミウマ)

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ナス葉の被害(ミナミキイロアザミウマ)

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ピーマン生長点部の被害(ミナミキイロアザミウマ)

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ミナミキイロアザミウマ多発圃場(ナス)

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ミカンキイロアザミウマ雌成虫。体長1.4〜1.7mm

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ナス幼果先端部のミカンキイロアザミウマ産卵痕。果実肥大に伴って症状は判らなくなる

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ミカンキイロアザミウマによる金粉症果(仮称)

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ナス葉の被害(ミカンキイロアザミウマ)

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ミカンキイロアザミウマの加害で褐変した果梗(ピーマン)


ミナミキイロアザミウマ

Thrips palmi

アザミウマ(総翅)目アザミウマ科

被害

成・幼虫が葉、果実、へた、果梗などを吸汁加害する。葉の初期被害は葉脈に沿って小さな白色斑点がみられる程度であるが、ひどくなると葉縁から褐変し始め、その後葉全体が褐変して落葉する。このようになると生育が著しく抑制される。果実では、被害部が灰褐色を呈したケロイド状になり、品質が著しく損なわれる。幼果期に加害されると、果実の肥大と共に被害部が拡大するため、被害が激しくなる。へた、果梗の被害部も灰褐色を呈し、品質低下の原因になる。ピーマンでは、生長点部によく寄生するため、新葉が縮れたり、奇形になる。なお、トマトには寄生しない。トマト黄化えそウイルスを媒介する。

被害作物

ナス、ピーマンなどナス科(トマトを除く)、キュウリなどウリ科、インゲンなど広範囲に及ぶ。

発生

休眠をしないため、南西諸島以外では野外での越冬は困難であり、施設が主要な越冬場所になっている。施設では栽培期間を通して繁殖し、側窓換気を始める翌春以降、野外に分散する。したがって、施設栽培地帯の露地では発生が多くなる。施設への侵入は、主に苗による持ち込みと野外からの飛び込みである。産卵は主に葉や果梗などの組織内に行われる。両性、単為生殖いずれも行うが、単為生殖で産まれた卵から育った成虫は全て雄である。幼虫は2齢を経て土中で蛹になる。産卵から羽化までの期間は、25℃で約14日と短く、年発生回数は野外で十数世代、施設を含めると20世代以上に及ぶ。白色や青色によく誘引され、これらの粘着板を圃場に吊すことで発生状況をある程度把握できる。

防除

換気窓への防虫ネット(1mm目合以下)の被覆、シルバーマルチ、UVカットフィルムの展張は侵入防止効果が高い。ただし、UVカットフィルムはナスでは着色不良になるため使用できない。天敵のタイリクヒメハナカメムシ剤(オリスターA 、タイリク、トスパック、リクトップ)、ククメリスカブリダニ剤(ククメリス、メリトップ)、スワルスキーカブリダニ剤(スワマイト、スワルスキー、スワルスキープラス)、リモニカカブリダニ剤(リモニカ)(施設栽培野菜類)、ボタニガードES(施設栽培野菜類)が有効。露地栽培では土着のヒメハナカメムシ類がよく働く。多発時には薬剤による防除が必要。なお、薬剤抵抗性が発達しやすいので、同一薬剤の連用は避ける。

薬剤(農薬)

アクタラ、アグリメック、アドマイヤー、アファーム、グレーシア、コテツ、スタークル・アルバリン、スピノエース、ダントツ、ディアナSC・ラディアントSC、ハチハチ、ファインセーブ、ベストガード、モスピラン、モベント等。作物によって登録内容が異なるので注意する。

※掲載している薬剤(農薬)は 2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)

RACコード(農薬の作用機構分類)

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

ミカンキイロアザミウマ

Frankliniella occidentalis

アザミウマ(総翅)目アザミウマ科

被害

ナスでは、主に葉、へた、花弁が加害される。葉では白色の斑点が生じるが、ミナミキイロアザミウマによる被害痕が葉脈に沿ってみられるのに対して、葉脈間に点々とみられ、しかも食害痕がミナミキイロアザミウマのものよりも大きい。へたが加害されると、被害部が褐変し、品質が損なわれる。開花期には柱頭周辺によく産卵し、産卵痕が認められるが、果実の肥大と共に傷はほとんど目立たなくなる。なお、「水なす」では産卵された部分が着色しない。ピーマンの場合、葉、果梗、へたおよびへたと果実の間が加害される。果梗やへたは褐変するが、果実ではへたの周囲が黒褐色になる。トマトの場合、主に葉が加害されるが、密度が高くなるとへたやその周りが加害され褐変する。また、開花時に子房に産卵されると白ぶくれ症状になる。品種によっては果面を加害され、着色に伴ってその部分に金粉をまぶしたような症状が現れる。本種はトマト黄化えそウイルスを媒介する。

被害作物

ナス、ピーマン、トマトなどナス科、キュウリ、メロンなどウリ科、イチゴ、豆類等広範囲に及ぶ。

発生

露地でも成・幼虫で越冬可能であり、圃場周辺の雑草が重要な発生源になる。好んで花に集まるので、圃場周辺に開花中の雑草がある場合には、圃場への侵入が多くなる。主な寄生部位は、開花中の花であるが、ある程度密度が高くなると葉への寄生も目立ち始める。主に葉の組織内に産卵するが、ナスやトマトでは開花中の子房、柱頭などにも産卵する。幼虫は2齢を経て土中で蛹になる。25℃における卵から成虫になるまでの期間は約9日である。他のアザミウマ類と同様、両性生殖と単為生殖を行う。青色やピンク色によく誘引される。

防除

シルバーマルチ、換気窓への防虫ネット被覆、UVカットフィルムの展張は侵入防止効果が高い。天敵のタイリクヒメハナカメムシ剤(オリスターA 、タイリク、トスパック、リクトップ)、ククメリスカブリダニ剤(ククメリス、メリトップ)、スワルスキーカブリダニ剤(スワマイト、スワルスキー、スワルスキープラス)、リモニカカブリダニ剤(リモニカ)(施設栽培野菜類)が有効。多発時には薬剤による防除を行う。

薬剤(農薬)

アーデント、アクタラ、アニキ、ウララ、グレーシア、コテツ、スピノエース、ディアナSC・ラディアントSC、ハチハチ、モベント等。作物によって登録内容が異なるので注意する。

※掲載している薬剤(農薬)は 2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)

RACコード(農薬の作用機構分類)

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 トマト・ナス・ピーマンの病害虫

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