診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
幼虫、成虫とも葉を吸汁加害する。ヒラズハナアザミウマやミカンキイロアザミウマと同様に、コマツナなどアブラナ科葉菜類の葉における吸汁加害により白斑症状、カスリやテカリ、ヒキツレ、反り返り、ひだ葉化などの被害が発生する。また、排泄物による汚れも加わる。多発時には葉全体が白化、葉枯れに至る。近年、キャベツ、ブロッコリーなどでは幼苗期の加害により苗が衰弱する被害も多く発生している。さらに、キャベツでは結球内部に潜りゴマ状斑などを残す被害がある。また、トマト黄化えそウイルス(TSWV)、アイリスイエロースポットウイルス(IYSV)などウイルス病を媒介する。
コマツナ、ミズナなどの葉菜類のほか、キャベツ、ブロッコリーなど。ネギ類の害虫として世界的に著名だが、キュウリ、キャベツ、 エンドウなどの野菜のほか、ダリア、カーネーションなどの花き類や果樹でも、被害が近年増加している。
雌成虫の体長約1.3㎜、全身淡黄色ないし褐色で夏期は淡黄色が多い。 全国に分布し、屋外では4月頃から11月頃まで見られるが、関東周辺では6~9月に個体数は多くなる。産雌性および産雄性単為生殖により繁殖する。産卵は葉肉内に産み込む。通常成虫越冬だが、暖地では幼虫でも越冬する。野外での世代数は5~6世代、施設内では10世代以上繰り返す。地域によっては薬剤感受性の低下した個体群もあり、難防除害虫となっている。
成虫飛来を防ぐ侵入防止策を講じる。施設内であれば防虫ネットと近紫外線除去フィルムの展張は効果が高い。セル成型育苗トレイまたはペーパーポットで育苗している場合、薬剤の灌注処理が省力的で有効である。また、成虫は黄色や青色に誘引されるため市販の誘引粘着テープにより発生予察が可能である。圃場周辺の雑草管理を徹底する。夏キャベツでは特にネギ、タマネギの圃場に近接すると飛来により結球内部に潜り込まれ、激しい被害が発生することがあるので注意する。
アファーム(カリフラワー、非結球アブラナ科葉菜類(ノザワナ、チンゲンサイ、コマツナを除く))、アベイル(キャベツ・ブロッコリー)、ジュリボ(キャベツ、ブロッコリー)、除虫菊(キャベツ、ハクサイ)、スピノエース(キャベツ、非結球アブラナ科葉菜類(ミズナ、長崎ハクサイを除く))、プリロッソ(キャベツ・ブロッコリー)、ベネビア(キャベツ・ブロッコリー)、ベリマーク(キャベツ・ブロッコリー)、マラソン・ディアナ(カリフラワー、キャベツ、ハクサイ、ブロッコリー)、モスピラン・モベント(キャベツ、ブロッコリー)など。
(竹内浩二)
※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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