診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
土壌中に生息するタネバエ幼虫が、吸水して膨潤した種子内に食入し胚芽を食べる。加害された種子は発芽できず腐敗する。またダイコンやキャベツなどで肥大した根部に幼虫が食入すると、生育不良になる。豆類、ネギ類、ウリ類、トウモロコシなどの種子も食害する。早春に播種すると低温下で発芽しにくく、加害されることが多い。
ダイコン、カブ、キャベツのほか、ダイズ、アズキ、インゲンマメ、ネギ類、ウリ類、トウモロコシなどを加害する。
幼虫は白色~乳白色のウジ虫で成熟幼虫は約6㎜になる。成虫は体長4.5~5㎜、翅長約5㎜。雄は暗黄褐色~暗褐色。雌は灰色~灰黄色。 タネバエは日本全土に分布する。北日本では蛹で越冬、関東以南では蛹や幼虫、成虫で越冬する。3月下旬~4月上旬頃から羽化し、畑に飛来する。 成虫は未熟堆肥や鶏ふん、油かすなどの有機物の腐敗した臭いのする畑や耕起後の湿った畑に集まり、土塊が地面と接している部分などに産卵する。年5~6世代、発生を繰り返す。春と秋には産卵数が多い。また、雨が多く土壌水分が多いと産卵数が多く、幼虫の生存率が高まる傾向がある。
未熟堆肥や鶏ふんなどのにおいの強い有機質肥料は成虫を誘引するので播種前に使用しない。
防除薬剤としては有機リン系(ダイアジノン:だいこん・はつかだいこん・キャベツ。カルホス:だいこん・はつかだいこん。ダーズバン:だいこん)、ピレスロイド系(フォース:だいこん)、ネオニコチノイド系(スタークル(アルバリン):だいこん。)が登録されている。だいこんの播種時には薬剤を土壌混和あるいは作条土壌混和、キャベツの定植時には全面土壌混和を検討する。
(平井一男)
※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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