診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
幼虫による葉や茎の食害により生育不良、芯止まりなどの被害となる。卵塊で産下され、数十頭の幼虫集団で食害するため、発生部位は葉脈などを残して激しい食害痕となることが多い。特にキャベツ、およびハボタン、ハクサイでは芯部に食害が集中して著しい被害となる。
キャベツ、ハボタン、ブロッコリー、ハクサイ、ダイコンなど。クレオメにも発生する。国外ではアブラナ科作物のほか、キュウリ、メロン、スイカなどウリ科、キク科のレタスなどでも発生が認められている。
成虫は全体黄褐色で前翅長は約15㎜で、雄の前翅前縁に黒色の毛束がある。幼虫の体長は約15㎜に達する。頭部は淡褐色で体側は暗緑色、各節の刺毛基板の黒斑3対が目立つ。 年に数回の発生を繰り返すと考えられるが、伊豆大島では秋~晩秋季の発生が多い。卵は数十個の淡黄色のうろこ状の卵塊として葉裏などに産み付けられる。ふ化した幼虫はほとんど移動分散することなく、集団のまま食害を続けることが多い。幼虫は少量の糸を出し、若干葉を綴った内部や、糸の下にいることが多い。幼虫は4齢を経過し、葉上あるいは地表面で葉や土を巻きこんだ薄い繭を作り、その中で蛹化する。静岡県では2月に屋外で幼虫が見つかったこともある。 1987年に沖縄県石垣島で最初に発生が確認された侵入害虫で、その後、沖縄県では定着し、90年以降静岡県、兵庫県、東京都(伊豆大島)で発生している。アジア、アフリカ、オセアニアに広く分布する。
発生初期にコロニーを見つけて取り去る。コロニーには粗く糸が張ってあるので、ヨトウガやハスモンヨトウと違うことがわかる。キャベツ、ハボタン、ハクサイなどの結球初期では芯部に好んで発生するので注意する。幼虫のまま越冬していることもあるので、冬季にも注意して取り除く。アブラナ科雑草やクレオメなど発生源となる不要な植物を放置せず、防虫網や寒冷紗などにより成虫の侵入を防ぐ。
本種に対する登録農薬はない。
(竹内浩二)
※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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