診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
アブラナ科野菜のみを食害する害虫で、成虫は葉を針で突いたように食害し、幼虫は土中で活動するため根を食害する。
キャベツ、ダイコン、ハクサイ、カブ、コマツナ、チンゲンサイなどのアブラナ科作物。
成虫の鞘翅は黒褐色、体長は約3㎜ と小さく、左右の翅に黄褐色の帯状の斑紋がある。後脚はよく発達し幅広でノミ のように機敏に高く跳ねる。この形態と習性によりキスジノミハムシ(別名=キスジトビハムシ)といわれるようになった。卵の長径約0.3㎜、 幼虫の頭部は褐色、胴部は淡黄から乳白色。体節ごとに少しくびれ、全体に粗毛がある。 体長約4㎜まで生長する。 全国に分布し、成虫は早春から初冬に見られ、年数回発生する。成虫で越冬する。暖地の方が発生数は多い。気象的には夏季に高温少雨傾向で多発しやすい。
基本的に圃場と周辺のキスジノミハムシを少なくするために、圃場と周辺を清掃することが必要になる。次いで以下の防除法を検討する。①野菜を防虫ネットで覆う。成虫の飛来を防ぐために、目の細かい防虫ネットや寒冷紗などを利用するのが有効である。②播種時に下記薬剤を播き溝に混和して播種、その後防虫ネットで覆って外部からの侵入を少なくする。
播種時や定植時にネオニコチノイド系(1.スタークル(アルバリン)、かぶ・だいこん・チンゲンサイ・なばな類・はくさい;2.モスピラン:かぶ・だいこん・チンゲンサイ・なばな類・はくさい)や
有機リン系(ダイアジノン:かぶ・カリフラワー・キャベツ・こまつな・だいこん・ブロッコリー);
ピレスロイド系(フォース:小倉はくさい・かぶ・だいこん・なばな類・はつかだいこん・非結球アブラナ科葉菜類)などの粒剤を使用する。
生育期の散布剤としてはIGR系(アタブロン:だいこん)、有機リン系(1.エルサン:かぶ・カリフラワー・キャベツ・だいこん・はくさい・ブロッコリー;2.ダイアジノン:かぶ・カリフラワー・キャベツ・こまつな・だいこん・ブロッコリー・はつかだいこん・非結球アブラナ科葉菜類;3.サイアノックス:キャベツ・だいこん・はくさい)、スピノシン系(スピノエース:だいこん・はつかだいこん)、トルフェンピラド系(ハチハチ:かぶ・だいこん)、フェニルピラゾール系(プリンス:キャベツ・はくさい)、マクロライド系(アニキ:かぶ・はくさい・非結球アブラナ科葉菜類)、ジアミド系(ベネビア:だいこん・はくさい)、ネオニコチノイド系(1.オールスター:かぶ・チンゲンサイ・なばな類・はくさい;2.アントム:かぶ・こまつな・だいこん・はくさい;3.モスピラン:かぶ・だいこん・なばな類・非結球アブラナ科葉菜類)、その他(アクセル:かぶ・キャベツ・だいこん・はくさい・非結球アブラナ科葉菜類)などがある。
ブロフラニリド系(ブロフレア:かぶ・だいこん・はくさい・非結球アブラナ科葉菜類)
以上、キスジノミハムシの防除には全部で218剤が登録されている。発生初期に防除することを心掛け、近くの防除指導機関やJAが推奨する効果の高い薬剤を選定し、高い効果をあげたい。
(平井一男)
※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
稲の病害虫と雑草 |
ムギ類の病害虫 |
豆類の病害虫 |
ジャガイモの病害虫 |
サツマイモの病害虫 |
アブラナ科野菜の病害虫 |
トマト・ナス・ピーマンの病害虫 |
キュウリ・スイカ・メロンの病害虫 |
イチゴの病害虫 |
ネギ類の病害虫 |
菜園の病害虫 |
カンキツの病害虫 |
リンゴの病害虫 |
日本ナシの病害虫 |
西洋ナシの病害虫 |
モモの病害虫 |
カキの病害虫 |
ブドウの病害虫 |
花の病害虫 |
難防除雑草