診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
被害はダイコン、コマツナ、ミズナ、ハクサイ、カブなど軟らかい葉のアブラナ科野菜に大きい。
幼虫がアブラナ科の植物の葉を食害する。食害痕は、モンシロチョウやヨトウムシに似るが、太い葉脈だけを残して縁から食害するのが普通である。古い葉にはほとんど加害しない。集団で暴食され、地上部を食べ尽くされるほど多発することもある。カブやダイコンでは地際部の根部も食害被害が見られる。
幼虫はナノクロムシともよばれ、イモムシ様の形態をした黒い虫で、体長15~18㎜。セグロカブラハバチはやや色が薄く灰藍色で体側に13個の黒紋がある。ニホンカブラハバチは黒く、イボ状の突起をもつ。成虫は体長約7㎜ のハチで、頭部と翅は黒色。セグロカブラハバチは胸部背面が黒い。カブラハバチとニホンカブラハバチは胸部が朱色で、カブラハバチの脚部が白と黒のまだらに見えるのに対してニホンカブラハバチの脚部は黒い。 平地では盛夏に少なく、春と秋に多く発生する。高冷地では夏~初秋の発生が多い。成熟した幼虫は土中で繭を作りその中で蛹化するが、越冬は繭内の幼虫のまま行う。産卵は葉の周縁部の葉肉中に1卵ずつ産み込む。ニホンカブラハバチは年に2回、カブラハバチは5~6回、セグロカブラハバチはそれ以上発生を繰り返す。幼虫に触れるとすぐに落下して丸くなる習性がある。風通しが悪いと発生しやすい。
オレンジ色をした胸腹部の成虫が、葉上でフワフワと飛んでいるのが見られるときは幼虫の発生に注意する。防虫網(2㎜目程度以下)や寒冷紗などで成虫の侵入を防ぎ、産卵を抑える。幼虫は人が近づくと葉から落下することに注意して取り去る。ナズナやイヌガラシなど雑草が発生源となっているので、圃場周辺の雑草管理を徹底する。
アクセル・アニキ(ダイコン、ハクサイ)、オルトラン(ハクサイ)、ハチハチ(カブ、ダイコン)、プレバソン(キャベツ、ダイコン、ハクサイ、ハツカダイコン)、マラソン(カブ、カリフラワー、キャベツ、ダイコン、ハクサイ、ブロッコリー)、モスピラン(カブ、ダイコン、チンゲンサイ、ナバナ類、ハクサイ、非結球アブラナ科葉菜類)など。
(竹内浩二)
※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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