診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
幼虫による食葉、食入被害が発生する。キャベツやハクサイでは結球部に食入して潜り込み、幼苗期では芯部を食害されることもある。ブロッコリーやカリフラワーでは花蕾部を1頭の幼虫が次々に移動しながら食害する被害がある。
アブラナ科ではキャベツ、ハクサイ、ブロッコリーなど。きわめて広食性でトマト、ピーマンなどの果菜類、トウモロコシ、オクラ、レタス、キク、カーネーション、ナデシコ、バラ、シクラメンなど花卉類や果樹類、樹木類でも被害が見られる。
暖地や施設では年に4~5回発生を繰り返すが、8~10月の発生が多くなる。雌成虫は1卵ずつ産卵するので、幼虫の発生は集団になることはない。幼虫は移動しながら株を変えて少しずつ食害するので、発生が少なくても被害が大きくなることがある。成熟すると土中で蛹化し、蛹で越冬する。幼虫は刺毛が長く特徴的だが、体色には緑色から褐色まで変化がある。近縁種のタバコガはやや小さく、成虫の翅の色合いが濃い。全国に分布し、国外では朝鮮半島、中国、台湾、東南アジア、インド、オーストラリア、ヨーロッパ、アフリカなどに分布する。
成虫の飛来・産卵を防虫網などで防ぐことが基本となる。キャベツやハクサイなど結球するアブラナ科野菜では頂頭部に産卵されるので、初期の食害痕(写真:キャベツ芯部の被害参照)に注意し、食入した幼虫を見つけて処分する。蕾や結球部の中に食入した幼虫に対して、薬剤の効果は低いので注意する。大規模産地では、交尾阻害を目的としたフェロモン剤の設置により、防除効果が期待できる。 フェロモントラップにより、発生予察が可能で、地域の病害虫防除所などが提供する発生情報を入手して発生状況を把握する。
アファーム(ブロッコリー、トマト、ミニトマト、ナス、ピーマン)、グレーシア(キャベツ、ハクサイ、ブロッコリー)、コテツ(キャベツ、トマト、ミニトマト、ナス、ピーマン)、コンフューザーV(性フェロモンによる交尾阻害剤)、フェニックス(キャベツ、ハクサイ)、プレオ(キャベツ、ハクサイ、トマト、ナス)、プレバソン(キャベツ、トマト、ミニトマト、ナス、ピーマン)、ベネビア(キャベツ、トマト、ミニトマト、ピーマン、レタス)、BT剤(エスマルク、トアローなど:野菜類)など多数の薬剤が登録されている。作物ごとに登録を確認する。
(竹内浩二)
※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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