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アブラナ科野菜の病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

ウリキンウワバ

Anadevidia peponis
チョウ(鱗翅)目ヤガ科

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若齢幼虫とキャベツ葉の食痕 ©竹内浩二

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中齢幼虫(黒の部分が少ないタイプ)  ©竹内浩二

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成熟幼虫(黒の部分が多いタイプ)  ©竹内浩二

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蛹(ダイコン葉を軽く巻きこみ作っていた薄繭をはがしたところ)  ©竹内浩二

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成虫 ©竹内浩二


被害

幼虫が葉裏から食害する。群生することはないが、成熟幼虫は摂食量が多く、葉に孔が開くなど、被害も大きくなる。冬季のハクサイの内部で幼虫が食害被害を起こすことがある。

被害作物

アブラナ科ではハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、ダイコンなどで発生する。キュウリやヒョウタンなどウリ科の害虫として著名だが、シソ科、ナス科、スイカズラ科、ゴマノハグサ科など広く発生する。

発生

成虫の前翅長は22~26㎜。茶~灰褐色でやや桃色を帯びることもある。外横線ははっきりしないことが多いが、波状である。前翅外縁付近と後縁中央部付近は光線の加減によるが金色を帯びる暗色域がある。卵は乳白色の饅頭型で、直径約0.6㎜。1卵ずつ産下され、ふ化が近くなると黒っぽくなる。幼虫は終齢で約40㎜になり、淡緑~黄緑色で頭部に向かって細くなる体型で、尾脚と腹脚の2対でシャクトリ歩きをする。各刺毛基部は顕著に突起し、特に第1~4および第8腹節の亜背線部は長い棘状に突出する。体色は淡黄~淡緑色、白線が背線、亜背線上などに数本走る。刺毛基板、頭部側面、胸脚は白色になる場合と黒色の場合があり、その強弱も変異がある。まったく黒斑がない個体から、黒斑が多い個体まで見る。刺毛は第5~7腹節と側面より下以外は黒色であることが多い。植物上で葉を軽く巻くなどして薄く白い繭を作りその中で蛹化する。 成虫は6~11月に見られ、年に3~4回発生を繰り返す。夏以降個体数は多くなり、アブラナ科作物への加害は秋~晩秋季に多い。雌成虫が葉裏に1卵ずつ産卵する。幼虫は主として外葉を摂食し、通常キャベツの芯部などへの加害は見られないが、冬季のハクサイなどでは相当内部まで潜り込み、食害をしながら越冬していることがある。全国で発生する。

防除

産卵を防ぐために防虫網などで成虫の飛来を阻止する。外葉の葉裏に単独で潜むことが多いので、食害痕やふんを見つけて幼虫を取り除く。秋の発生が多い場合は、冬季のハクサイなどでの越冬幼虫の発生に注意する。ヤサイゾウムシと混発していることが度々ある。

薬剤(農薬)

グレーシア(キャベツ、ブロッコリー)、ディアナSC(キャベツ、ダイコン、ハクサイ、ブロッコリー)、フェニックス(キャベツ、メキャベツ)、プレオフロアブル(キャベツ)、プレバソンフロアブル5(キャベツ)、ベネビア(キャベツ)など。

(竹内浩二)

※掲載している薬剤(農薬)は 2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)

RACコード(農薬の作用機構分類)

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 アブラナ科野菜の病害虫

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