診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
広食性であり、幼虫が各種作物を加害する。多発年には6月頃から被害が認められるが、通常被害が増加するのは8~10月頃である。被害状況は、シロイチモジヨトウによるものとほぼ共通するが、若齢期に葉身内部に潜り込むことが少ない点で異なる。
ネギ(わけネギを含む)、アサツキなどのネギ属作物。
成虫の体長は、15~20mm、開張は約40mmである。前翅には、和名の由来である斜めに交差した数条の淡褐色の縞模様がある。卵は数百個の卵塊として葉に産みつけられ、薄茶色の雌成虫の鱗毛で覆われる。幼虫は、日中には日陰や地際部などに潜み、主に夜間に活動する。孵化直後の1齢幼虫は透き通った緑色をしているが、脱皮すると茶色になる。頭部後方に特徴的な1対の黒い斑紋があるほか、老齢幼虫では、背の中央に1本、左右に2本の橙色の線が明瞭に現れる。体色は淡いものから黒色に近い黒褐色まで変異に富む。6齢を経過し、体長約40mmまで成長した後、土中で蛹になる。蛹は茶色く、オオタバコガ、ヨトウガ、カブラヤガなどのものと色や大きさが同様であるため、蛹でこれらの種と識別することは困難である。25℃条件下では1世代を約40日で経過する。本種は非休眠性であり、加温ハウス内では冬季も発育と加害が続く。しかし西南暖地においても露地越冬は難しく、ハウス内など限られた環境下で越冬すると考えられている。移動性に富み、年に数世代発生するが、越冬個体がきわめて少ないため春は密度が低く、世代を重ねながら秋にかけて密度が高まる。
卵隗や孵化直後の幼虫の集団を早期に発見し、速やかに除去する。施設栽培では、開口部への防虫ネット展張が成虫の侵入防止対策として有効であるが、防虫ネットに卵塊が産下され、ここから孵化した幼虫がネットを通過して施設内に侵入することもある。幼虫の薬剤感受性は齢が進むと低下するため、殺虫剤による防除の対象は孵化直後の若齢期に限られる。また、合成性フェロモンを成分とする交信かく乱剤も利用でき、ヨトウガ、シロイチモジヨトウなどとの同時防除が可能であるが、防除効果を得るためには、広域的に処理する必要がある。
各種BT剤(エコマスターBT、クオーク、サブリナ、ゼンターリ、デルフィン、バシレックス、フローバック)など。※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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