診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
幼虫が葉を食害する。葉の狭い隙間に潜り込み、その内部から葉を食害することが多い。孵化直後の1齢幼虫は集団で葉の先端に近い部分や折れた部分の内側から穴を開けて葉身内に侵入し、表皮を残して葉肉だけを食害する。そのため、被害を受けた葉は白化して枯れる。若齢期の幼虫はほとんどが葉身内に生息するが、4齢以降は分散して葉に穴を開けるように加害するなど、葉の外側に出て活動する個体も多くなる。中後期の被害症状はハスモンヨトウによるものと類似し、その様子からは種を特定できない。また、本種を含めてヨトウムシ類に食害されたネギでは、虫糞が葉身内の底部に堆積するため、直接的な食害と合わせて商品価値が損なわれる。
ネギ(ワケネギを含む)、アサツキなどのネギ属作物。
広食性であり、多くの作物を加害する。成虫の体長は10~15mm、開張は25~30mmであり、全体に明るい灰褐色で、前翅中央部に黄褐色の円形の斑紋がある。卵は卵塊として産下され、その表面は灰褐色の鱗毛で覆われる。幼虫の胴部側面に明瞭な白線があることが本種の特徴であり、集団で生息する若齢期には黄緑色であるが、中齢以降の体色は変異に富み、淡緑色から黒褐色まで様々である。成熟幼虫の体長は約30mmであり、ハスモンヨトウよりも小型である。幼虫は土中で蛹になる。成虫は4~10月にかけて現れ、その間に4~5回発生するが、個体数が多いのは8月以降である。本種は非休眠性であり、施設内では冬期も発生することがある。暖地ではごく一部が蛹で越冬すると考えられている。
卵隗や孵化直後の幼虫の集団を早期に発見し、速やかに除去する。施設栽培では、成虫の侵入を防ぐため、開口部に防虫ネットを展張する。幼虫の薬剤感受性は齢が進むと低下し、葉身内に侵入した後では薬液を直接虫体に付着させることも困難であるため、殺虫剤による防除の対象は孵化直後の若齢期に限られる。また、合成性フェロモンを主成分とする交信かく乱剤も利用できるが、露地栽培で防除効果を得るためには、少なくとも5ha以上のまとまった処理面積が必要である。
アファーム、アタブロン、アニキ、グレーシア、コテツ、スピノエース、ディアナ、フェニックス、プレバソン、ベネビア、マトリック、ヨーバル、各種BT剤、ノーモルト、カスケード、ロムダン、マッチ、ファルコン、プレオ、ラディアント、プロフレアなど。アルバリン、スタークル、ベリマークはかん注処理できる。※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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