診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
成虫が葉を、幼虫が根部をそれぞれ食害する。ほ場外から越冬成虫が侵入し産卵した場合にも加害されるが、ほ場の土壌中に幼虫が越冬していた場合の根部被害が大きい。幼虫に茎盤部が食害されると、生育が停止することもある。
ネギ(ワケネギを含む)、アサツキなどのネギ属作物。
暖地ではトビイロヒョウタンゾウムシおよびサビヒョウタンゾウムシの2種が発生し加害する。羽化直後を除き両種の見分けは困難であるが、ほ場での生態や防除法はほぼ同様であり、被害を防ぐ観点では両者を区別する必要はない。成虫の体長は6~9mm、体色は灰褐色や黒褐色で変化に富む。両種は後翅が退化しており飛翔できず、歩行のみによって移動する。卵は寄主植物の毛茸や株元の地表面などに産下される。産卵直後の卵は白色であるが、しばらく経つと黒くなる。幼虫は乳色~黄白色であり、体毛が短く、脚がない。幼虫は地下部を食害しながら体長約10mmまで発育した後、地中で蛹になる。25℃条件下では、産卵~羽化まで約3ヶ月である。越冬成虫は4月中下旬から活動を開始し、寄主植物の葉を食害しながら5月上中旬に産卵を始め、6~8月頃まで生存する。早い時期に産卵されて孵化した次世代の幼虫は7~8月に羽化するが、これら新成虫による年内の産卵は少なく、そのまま越冬する個体が多い。新成虫が越冬前に産んだ卵は孵化して幼虫で越冬し、翌年の7~8月頃に羽化すると考えられる。一旦地表に出た成虫は地中には再度潜らず、10月頃から雑草や冬作物の株元、枯れ草の下などの地表面で越冬する。
ほ場周辺からの成虫の侵入を防ぐことが重要である。ただし、成虫は垂直な面を歩行できるため、障壁板の設置による侵入防止は困難である。多発ほ場とその周辺では、ヒョウタンゾウムシ類が好むゴボウ、ニンジン、ネギ、ラッカセイなどを連作しない。ほ場周辺の雑草地は発生源や越冬場所となるため、除草を徹底する。
コテツ。アルバリン、スタークルは、トビイロヒョウタンゾウムシに対するかん注処理ができる。※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)
・殺虫剤(IRAC)2022年6月版(ver.10.3) *PDFデータ
・殺菌剤(FRAC)2022年6月版 *PDFデータ
・除草剤(HRAC)2020年3月現在 *Excelデータ
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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