診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
主にチャバネアオカメムシとクサギカメムシにより加害される。
チャバネアオカメムシは体長10~12mmで体色は光沢のある緑色で前翅は紫がかった茶色である。クサギカメムシは体長が10~18mmで体色は暗褐色で黄褐色の斑点があり、触角は白黒のまだらである。
吸汁により果実の片面に明らかな窪みや陥没が発生し果形は凸凹になる。果梗の直下の被害により果実の肩部分が発育不良になり果形が変形する。果実の肩から赤道面にかけ、小型のはっきりした窪みが点在し、微かに変形する。果実全面に境界がはっきりしない浅い窪みが発生し変形する。吸汁部分が暗褐色のカサブタ状であるいはその部分が亀裂する。追熟前の被害果実は症状がある部分を切断すると、果肉部が褐変し、コルク化している。追熟後は果実の被害がない部分の果肉は軟らかくなるが、被害部分の果肉は著しく堅く、食感はきわめて劣り無味である。果実肥大中に加害されると肥大が止まってからの加害より症状が激しくなる傾向がみられる。
ナシ類、モモ、リンゴ、カンキツ、カキ、オウトウなど
成虫は5月から9月まで断続的に園地に飛来し加害する。発生量は年次変動が大きい。
チャバネアオカメムシ:成虫で落葉の下で越冬する。年間2~3回発生すると推定される。越冬場所から成虫が離れ、スギやヒノキに移動する途中で西洋ナシに飛来し、幼果か肥大中の果実を加害する。ナシ園では暖かい春では5月中旬頃から成虫が確認される。秋はスギやヒノキから越冬場所に移動する途中で成熟果を加害する。スギやヒノキの球果が少ない場合は西洋ナシ園への飛来が早くなることがある。
クサギカメムシ:成虫が集団で家屋の中や樹皮の下で越冬する。越冬成虫は幼果に飛来し吸汁加害を始め葉裏に産卵する。10日程度で孵化する。新成虫は7月頃から出始め果実を加害する。
耕種的防除:小屋などの隙間のような越冬場所にいる成虫を捕まえ処分する。卵塊やふ化幼虫は分散する前に見つけ次第園地から持ち出し処分する。
薬剤(農薬)防除:園地で発生が見られたら有効な薬剤を散布する。定期的にカメムシ類に有効な薬剤を散布していない場合は、カメムシ類は断続的に飛来するので、その都度、防除を行う。
テルスター、MR.ジョーカー、スカウト、アグロスリン、アディオン、スタークル、アルバリン、モスピラン、ダントツ、スミチオン、エルサン※掲載している薬剤(農薬)は
2015年10月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)
・殺虫剤(IRAC、2016年4月版 ver.8.1) *PDFデータ
・殺菌剤(FRAC、2017年4月版) *PDFデータ
・除草剤(HRAC、 2016年9月版 *Excelデータ
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
稲の病害虫と雑草 |
ムギ類の病害虫 |
豆類の病害虫 |
ジャガイモの病害虫 |
サツマイモの病害虫 |
アブラナ科野菜の病害虫 |
トマト・ナス・ピーマンの病害虫 |
キュウリ・スイカ・メロンの病害虫 |
イチゴの病害虫 |
ネギ類の病害虫 |
菜園の病害虫 |
カンキツの病害虫 |
リンゴの病害虫 |
日本ナシの病害虫 |
西洋ナシの病害虫 |
モモの病害虫 |
カキの病害虫 |
ブドウの病害虫 |
花の病害虫 |
難防除雑草