被害

孵化幼虫は、ナシの葉肉内に潜入して食害する。その後、幼虫は葉の外に出て葉の表側から表皮を残してカスリ状に食害する。発生量が多くなると光合成量が低下し、早期落葉を招く。

生態

孵化幼虫は葉肉内に食入して潜孔を作り、2齢幼虫末期に葉の外に出て生活し、脱皮の際には薄く扁平な仮繭を作ってその中で脱皮する。第3世代の4齢幼虫までは葉の裏面に白く細長い繭を作って蛹化するが、第4世代の4齢幼虫は樹肌の窪みなどに繭を作って蛹で越冬する。年4回の発生で、越冬後蛹は4月下旬から羽化し、第1世代成虫は6月中旬頃に、第2世代成虫は7月下旬頃に、第3世代成虫は8月下旬～9月上旬に出現する。本種は、ほぼ全国のナシ栽培地帯に分布して1960年代後半から急速に密度を増加させてナシの大害虫となったが、1980年代以降はほとんど見られなくなった。

防除

通常は、本種を対象とした防除の必要はない。越冬繭が多く、葉にカスリ状の食害痕が目立つような園では、幼虫発生期に薬剤防除を実施する。主枝、亜主枝などに越冬繭を見つけたら、すり潰すか取り除く。

薬剤（農薬）

アグロスリン，スカウト，スミチオン，ノーモルトなど※掲載している薬剤（農薬）は 2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。

---

■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
（国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳：外部サイト）

RACコード（農薬の作用機構分類）

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。