診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
6月から収穫期にかけて、成虫および幼虫が果実を吸汁加害し被害が発生する。果実肥大期に吸汁されると、吸汁部位が肥大せず果面がえくぼ状にへこむので商品価値がなくなる。肥大終期~収穫直前に吸汁されると、へこみは形成されないものの、吸汁痕の果肉がスポンジ状になり商品価値がなくなる。
寄主範囲は種によって異なるが、いずれも広食性である。チャバネアオカメムシは、体長10~12mmで光沢のある緑色で翅は茶褐色を呈し、年2~3回発生し、山林周縁部の落葉下で成虫越冬する。ナシ園へは、第1世代成虫が通常8月以降に飛来する。クサギカメムシは、体長13~18mmで茶褐色の地に暗褐色の斑紋があり、年1~2回発生し、樹皮下や家屋の板と板の隙間などに集団で越冬する。ツヤアオカメムシは、体長14~17mmで全体として光沢のある緑色を呈し、年1~2回発生し、常緑樹の葉裏などで越冬する。アオクサカメムシは、体長12~16mmで全体として光沢のない緑色を呈し、年1~2回発生し、常緑樹の茂みなどで越冬する。いずれも成虫態で越冬する。
カメムシ類に対しては、多目的防災網の設置がきわめて有効である。設置できない場合は、薬剤による防除を実施する。飛来性害虫であるため防除適期の判断が難しいことから、常に園内を観察し、発生を認めたら防除を実施する。また、地域の病害虫発生予察情報を参考にして防除計画を立てるとよい。合成ピレスロイド系殺虫剤は防除効果が高く残効も比較的長いが、多用するとハダニ類やカイガラムシ類のリサージェンスを引き起こすので注意する。
アクタラ,アグロスリン,アルバリン,スカウト,スタークル,スミチオン,ダントツ,テルスター,ロディーなど
※製品によって適用内容が異なる場合があるので注意する。※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)
・殺虫剤(IRAC、2016年4月版 ver.8.1) *PDFデータ
・殺菌剤(FRAC、2017年4月版) *PDFデータ
・除草剤(HRAC、 2016年9月版 *Excelデータ
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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