診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
幼虫、雌成虫がナシの新芽、花梗、葉、果実など多くの部位に寄生する。幹や枝の日陰の窪みや隙間、剪定の切り口などを好み、群棲して吸汁加害する。多発生するとナシの生長が阻害されるだけでなく、大量の排泄液(甘露)が葉や果実に付着したり、すす病が誘発されたりする被害を生じる。果実では、果梗の付け根部やていあ部に群生して被害をもたらす。
フジコナカイガラムシ雌成虫の体長は2.5~4mm、クワコナカイガラムシ雌成虫の体長は3~4.5mmである。雌成虫は楕円形で背面が白色粉状のろう物質で覆われ、体周縁全体に房状のろう物質突起がある点で共通するが、体後部の一対の長さがクワコナカイガラムシでは顕著に長い。フジコナカイガラムシは2齢幼虫で粗皮下などで越冬し、4月上~中旬に新芽や新梢へ移動する。その後、幼虫は6月中~下旬、8月上旬~9月上旬、9月下旬以降の3回発生する。クワコナカイガラムシは卵嚢中の卵塊で粗皮下などで越冬し、幼虫は5月中~下旬、7月上~中旬の2回発生し、暖地ではもう1世代発生する。
2齢幼虫以降は、体表がロウ物質で覆われて薬液をはじくため、薬剤による防除効果が上がりにくい。発育ステージが揃いやすい第1世代孵化幼虫または第1回孵化幼虫の発生時期が防除適期である。初発時期は地域や年次により異なるため、上記発生時期を参考に孵化状況を観察する。また、越冬場所への移動時期に、主枝、亜主枝などに麻袋などを巻きつけることにより移動虫を捕獲する。
アプロード,アルバリン,オリオン,機械油,コルト,スタークル,ダーズバン,ダイアジノン,ダントツ,トランスフォーム,ハチハチ,バリアード,モスピランなど※農薬によって対象害虫が異なる場合があるので注意する。※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)
・殺虫剤(IRAC、2016年4月版 ver.8.1) *PDFデータ
・殺菌剤(FRAC、2017年4月版) *PDFデータ
・除草剤(HRAC、 2016年9月版 *Excelデータ
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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