診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
日本在来種で、本州から沖縄にかけて普通に見られる。北海道には、別種でより大型のオオヨモギが多く見られる。日当たりのよい道端、畦、空き地、土手などに生育する多年生雑草である。
独特の香気があり、春の若芽を摘んで草もちの材料に用いたり、夏に生育した葉から綿毛を集めてお灸に使うもぐさ(艾)にするなど、昔から人に利用されてきたが、風媒花で秋の花粉症の原因植物の一つともなっている。
浅い地中をはう地下茎(根茎)および種子により繁殖する多年生雑草である。春先に根茎から萌芽し、分枝しながら立ち上がりそう生する。高さは約1m(オオヨモギは約2m)になる。
生育中の葉などは観賞用のキクとよく似るが、茎や葉裏に綿毛が密生する点、秋に円錐花序の穂を出して目立たない小花が多数つく点が異なる。
地上茎はその後枯死し、越冬は根茎および秋に株元で萌芽したロゼット状の若芽でする。セイタカアワダチソウと同様に、根からアレロパシー物質を分泌し、他の雑草の種子の発芽を抑制することが知られている。
株になり、また根茎が発達するため完全に抜き取るのは困難である。刈取りをしても根茎から萌芽して再生育する。ただし、頻繁に耕起される場所では繁茂せず、畑地などでは問題になることはない。
【農耕地周り】
プリグロックスL、ザクサやバスタなどのグルホシネート剤、タッチダウンiQやラウンドアップマックスロードなどのグリホサート剤を作物や果樹にかからないように生育期に茎葉処理する。
【家周り、空き地など】
根茎まで枯殺するには、タッチダウンiQやラウンドアップマックスロードなどのグリホサート剤を用いる。粒剤ではオールキラーやハイバーXが有効である。ただしこれらの薬剤は他の植物も全て枯らし裸地化してしまうおそれがあるため、のり面など崩れると困る斜面での全面散布は控える。
道路のり面などでノシバやチガヤなどのイネ科雑草を残しつつヨモギやクズなどの広葉雑草を防除したい場合には、ザイトロンアミンなどの広葉植物に選択的に作用する有効成分をもつ薬剤の茎葉散布が有効である。
(筒井芳郎)
※掲載している薬剤(農薬)は
2021年5月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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