診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
マツヨイグサ属は世界で100種以上あるとされるが、日本には自生種はない。いずれもアメリカ大陸原産とされる。
マツヨイグサは北陸・関東以西に、オオマツヨイグサとメマツヨイグサは全国に見られる。マツヨイグサとオオマツヨイグサは観賞用として入ったものが逸出したとされ、かつては多く見られたが、近年はメマツヨイグサの方が多く見られるようになった。
いずれも越年生または2年生の雑草で、荒地、道端、空き地、土手などに群生する。草丈はマツヨイグサが40~100㎝、オオマツヨイグサ80~150㎝、メマツヨイグサは1~2mに達する。
畑地やその周りではコマツヨイグサ、ユウゲショウの発生が目立つ。
主に秋に発芽し、ロゼットで越冬する。ロゼットの状態のまま2回越冬する個体もある。越冬後、茎は直立し、5~10月ごろにかけて茎の先に黄色の花を多数つける。花は夕暮れから咲いて翌朝にはしぼむ。花の直径はマツヨイグサ、オオマツヨイグサが約8cmであるのに対し、メマツヨイグサは約3cmと小さい。果実は蒴果で長さ3~4cm、熟すと多数の種子を出す。
メマツヨイグサと似ていて花弁と花弁の間に隙間のあるものをアレチマツヨイグサと呼ぶ場合もあるが、境界は判然とせず識別は難しいとされている。
刈り払いや除草剤による防除が基本となる。春以降にロゼット状態から茎が直立し、生育が旺盛になるため、防除の時期を逸しないように注意する。また、多数の種子が広範囲に拡散するため、その前に防除することで次の発生を減らすことができる。
対象雑草に一年生雑草、または一年生広葉雑草を含む薬剤がマツヨイグサ類防除に使用できる。
生育期を対象とした非選択性茎葉処理剤では、ラウンドアップマックスロード、タッチダウンiQ、サンフーロンなどのグリホサートを有効成分にもつ薬剤、バスタ、ザクサなどのグルホシネートを有効成分にもつ薬剤、プリグロックスLなどが有効であるが、グリホサート含有剤については一年生雑草対象の薬量では枯れきれずに再生することが多いため、マツヨイグサ類を対象とした高めの薬量を使用する必要がある。
また、2,4-PA、MCP、トリクロピルなどの広葉植物に選択的に作用する有効成分をもつ薬剤も生育期のマツヨイグサ類に対して効果が高いが、イネ科雑草に効果を示さないため、群落の雑草種類に応じて使用する。いずれの薬剤ともマツヨイグサ類が生え揃った後、草丈が30cm程度の大きくなりすぎないうちに、適用範囲の多めの薬量を用いて茎葉にしっかりと散布する。
その他では、アージラン、オールキラー、バックアップ、アーセナル、ハイバーXなども使用できるが、いずれも上記剤と同様に、マツヨイグサ類が大きくなりすぎないうちに散布することが重要である。
(山木義賢)
※掲載している薬剤(農薬)は
2021年5月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)
・殺虫剤(IRAC)2022年6月版(ver.10.3) *PDFデータ
・殺菌剤(FRAC)2022年6月版 *PDFデータ
・除草剤(HRAC)2020年3月現在 *Excelデータ
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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