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難防除雑草

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

ヒルガオ類

Calystegia japonica(ヒルガオ)
Calystegia hederacea(コヒルガオ)
Convolvulus arvensis(セイヨウヒルガオ)
いずれもヒルガオ科

北海道から九州まで分布し、道端、畑、樹園地などに一般的にみられる雑草である。
近縁植物としてコヒルガオやセイヨウヒルガオがある。

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ヒルガオ類
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芽ばえ(ヒルガオ) ©全農教

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幼苗~開花前(ヒルガオ) ©全農教

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開花(ヒルガオ) ©全農教

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芽ばえ(コヒルガオ) ©全農教

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幼苗~開花前(コヒルガオ) ©全農教

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開花(コヒルガオ) ©全農教

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開花(セイヨウヒルガオ) ©全農教

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地下茎を長く伸ばす(コヒルガオ) ©全農教

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コヒルガオ:花柄に縮れた翼がある ©全農教

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ヒルガオ:花柄に翼がない ©全農教

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ヒルガオ葉:基部が張り出し全体がほこ形~矢じり形 ©全農教

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コヒルガオ葉:基部が耳状に張り出し、さらに二分する ©全農教


生態

冬は地上部が枯れ、地下茎で越冬する多年生のつる性植物である。春に地下茎の節々からつる状の地上茎が伸び始める。葉は互生で1~4cmの葉柄があり、細長くほこ型かやじり型で無毛で、6~8月に葉腋から花柄を出し、先にロート形で直径5~6cmの薄いピンク色の花を咲かせる。花は一日花で日中咲き、夕方しぼむ。通常は結実することなく、地下茎で増える。耕起などで切断された地下茎から容易に萌芽することから、耕起作業で圃場内に拡散するばかりでなく、作業機の移動にともなって他圃場へも広がる可能性がある。畑地で発生したヒルガオは作物に巻きつき、生育を抑制する。特に作物の生育初期に巻きつくと影響が大きく、収穫が困難になる場合がある。
コヒルガオはヒルガオに比べ葉の付け根の部分が真横に張り出すように広がり、その先が2裂するものが多い。花弁は3~4cmと小さく、花柄に縮れた翼がある点でヒルガオと区別できる。セイヨウヒルガオは花弁が3cm程度で、苞葉が、がくから離れた花柄の基部に対生するのが特徴である。

防除

新たな場所への侵入は主に地下茎の移動によることから、拡大を防ぐため、トラクター等の作業機の移動の際は土をきれいに落とすなどの注意が必要である。また、圃場周縁部で生育した個体から徐々に圃場内に定着することもある。いずれにしても圃場内に侵入した場合はできるだけ早期に根絶をはかることが大切である。
切断茎からも再生可能であり、ヒルガオ類の防除は除草剤の利用が中心となる。手取りも有効であるが地下茎を残さないようていねいに抜き取る必要がある。刈り払いでは地上部の防除は可能であるが、地下茎まで含めて完全に防除するためには、多回数の刈り払い作業が必要となる。トウモロコシなどの飼料畑では、耕起作業と除草剤との組み合わせによる防除が有効である。トウモロコシ収穫後の秋耕により翌年の発生数は増加するものの、個体サイズが小さくなり、2回の秋耕と土壌処理もしくは1回の秋耕と土壌処理および中耕を組み合わせることでトウモロコシ収量への影響がない程度に、ヒルガオ類を防除できる。

薬剤(農薬)

【農耕地】
生育期の雑草を枯らす非選択性茎葉処理剤にラウンドアップマックスロード、タッチダウンiQ、サンフーロンなどのグリホサート剤、バスタ、ザクサなどのグルホシネート剤、プリグロックスLなどがある。これら薬剤は作物にかからないように処理する。グリホサート剤は低薬量では効きにくく、逆にヒルガオ類がはびこる可能性があるため、多年生雑草対象の高めの薬量を使ってヒルガオ類の葉にしっかりかかるように散布する。グルホシネート剤、プリグロックスLは地上部を枯らすのに有効であるが、一度地上部が枯れても地下部が生存し、そこから再生する場合がある。飼料用トウモロコシ栽培ではグリホサート剤をトウモロコシ収穫後のヒルガオ類の再生時に高めの薬量で散布することで翌春の発生量を減らすことができる。作物栽培前に発生している場合や作物の畦間、圃場周辺の防除にも有効である。
播種または定植後に発生する雑草を防除するための土壌処理剤は、栽培初期に発生する雑草の防除に有効で雑草防除の基本になる。ヒルガオ類に有効な薬剤は少ないが、ゲザノンゴールドの効果が比較的高い。
作物生育期に発生している雑草を防除する選択性茎葉処理剤にはバサグランがあり、飼料用トウモロコシ内のヒルガオ類の防除には、秋耕や土壌処理剤との組み合わせ使用が有効とされている。
【農耕地以外】
道端、空地等における防除には上記薬剤に加え、2,4-Dアミン塩、MCPソーダ塩、などのホルモン系の茎葉処理剤がヒルガオ類の地上部防除に有効である。また、グリホサート剤の高薬量処理、ザイトロンアミン、クサノンEXなどにより長期間の防除が可能である。
(金久保秀輝)

※掲載している薬剤(農薬)は 2021年5月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)

RACコード(農薬の作用機構分類)

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 難防除雑草

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