診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
日本在来種で全国各地に分布する。農道や畦畔、道路のり面や中央分離帯、河川敷などの日当たりのよい場所に多く見られ、放牧地や海岸砂浜などにも生育する。
ススキやオギなどのように大型にならないため、単一の群落が形成されている場合には積極的な防除が必要にならないこともあるが、再生力が旺盛なため、道路付近などでは視認性の低下を招いて交通の支障になるなど、頻繁な管理が必要な場面も多い。
種子繁殖も行うが、多くは長くほふくする地下茎で繁殖する多年生イネ科雑草である。春先に地下茎の所々から芽を出し、5月ごろに一斉に白い穂を出すのが特徴である。花茎以外の茎はほとんど地上に出ず、硬い主脈をもつ葉が立ち上がり、高さは30~50cm程になる。刈り取りに強いため、刈り取りで管理されるような場所で優占していることが多い。
ほとんどは地下茎から発生して繁殖するため、耕起により地下茎を切断したり、地下茎そのものを除去することで防除できる。
薬剤の散布は省力的であるが、薬剤によっては地下茎まで枯殺できないため注意が必要となる。
一方、のり面等では緊密な地下茎が土壌を良くつかみ、崩壊防止に役立っていることがあり、このような場所では地上部が邪魔にならないように、刈り取りや地上部のみを防除する薬剤によって管理する。
対象雑草として、チガヤまたは多年生雑草、多年生イネ科雑草を含む薬剤が有効である。
農耕地では、地下茎まで枯殺するものとして、グリホサートを有効成分にもつラウンドアップマックスロード、タッチダウンiQ、サンフーロン、草枯らしMIC。イネ科を防除対象とするナブ、ワンサイドPが挙げられる。これらの薬剤は、適用範囲の多めの薬量を用いてチガヤの茎葉にしっかりと散布する。
地上部のみを枯殺して、刈り取りの代用として使用できる薬剤にバスタ、ザクサ、プリグロックスLがある。
道路のり面等の管理には、地下茎を維持しつつ草丈の伸長を抑制する、モニュメント、ナインGなどの「抑草剤」が有効である。
農耕地以外の場面では、上記の薬剤の他に、フレノック、オールキラー、バックアップ、ハイバーXなども使用できる。これらは主に地下部から吸収されるため、茎葉に散布する必要がない一方で、枯殺までにはある程度の日数を要する。
(山木義賢)
※掲載している薬剤(農薬)は
2021年5月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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