診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
日本には明治時代末期に観賞用として導入されたと言われる。第二次世界大戦後に急速に広まり、現在は北海道から沖縄まで広く分布する。
空き地、休耕田、河川敷や土手、道路や鉄道ののり面などで群生する大型雑草であり、秋には一斉に黄色い花を咲かせよく目立つ。同時期に全国に広まったブタクサと混同され、秋の花粉アレルギーの原因とされたこともあるが、本種は虫媒花で花粉は風で飛ぶものでないため無関係と考えられる。
冠毛のついた種子で拡散し、一度定着すると地下茎にためた養分を使って急速に繁殖し、他の植物を圧倒する。再生能力も高く、刈り取りにも強い。
多年生。種子と地下茎で繁殖する。春先に地下茎から萌芽した茎が伸びはじめ、ほとんど分枝せずに直立して、秋には高さ2mを超える。
セイタカアワダチソウは茎葉全体に短くて固い毛が生えているため、手触りがざらつく。茎は赤色をしていることが多い。
北海道や東北地方に多い同属のオオアワダチソウは、茎葉が無毛のためすべすべしているので区別できる。
根からアレロパシー物質を分泌し、他の雑草の種子の発芽を抑制することも知られている。
結実後に地上茎は枯れるが、株元の芽が葉を広げてロゼットを形成し、浅く伸ばした地下茎とともに越冬する。地下茎から萌芽した株によって周囲へ繁殖するほか、冠毛のある種子が風で飛ばされて遠くへも分布を広げる。湿った休耕田や乾燥の強い空き地などいたるところで生育できる。
地下茎から多数の芽を出すため、抜き取りには多大な労力を必要とする。刈取りをしても残った葉腋や地下茎から萌芽して再生育するため、防除が困難である。ただし、耕起作業により地下茎が細断されると萌芽能力を失うため、頻繁に耕起される畑地などでは繁茂しない。
また、休耕田に発生しているセイタカアワダチソウについては、復田された場合には、水田内での再生は見られないことも知られている。
【農耕地周り】
地下茎まで枯殺するには、タッチダウンiQやラウンドアップマックスロードなどのグリホサート剤を用いる。セイタカアワダチソウの生育期に、作物に飛散しないよう十分注意しながら茎葉処理を行う。
【畦畔、農道や家周り、空き地など】
同じくグリホサート剤の茎葉処理で根絶できる。粒剤ではオールキラーやハイバーXが有効である。ただしこれらの薬剤は他の植物も全て枯らし裸地化してしまうおそれがあるため、のり面など崩れると困る斜面での全面散布は控える。
緑地管理場面で抑草剤として使用されるショートキープやモニュメントは、枯殺せずに長期間セイタカアワダチソウの成長を抑制することから、鉄道のり面や道路のり面などでの利用が考えられる。また、サーベルはセイタカアワダチソウやクズなどの広葉雑草によく効く一方、ススキやチガヤなどのイネ科雑草には影響が少ないため、のり面維持に適したイネ科植生へ速やかに誘導することができる。
(筒井芳郎)
※掲載している薬剤(農薬)は
2021年5月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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