診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
北アメリカ原産の帰化植物で全国的に分布する。畑地、空き地、川原等に見られ、果実が水流に乗って拡散し、しばしば水際に群落をつくる。
果実には多数のとげが有り、動物に付着して運ばれる。種子が輸入飼料に混入していた例もあり、家畜を通して拡散した可能性もある。
近年飼料用トウモロコシ、ダイズ畑の強害草となっている。飼料作物畑に発生すると、家畜の嗜好性が劣るため、サイレージの品質低下を招く危険性がある。また、種子や子葉には家畜に有毒な物質が含まれている。
類縁種には在来のオナモミと外来のイガオナモミが存在するが、オナモミは急激に減少し近年ではまれである。イガオナモミはオオオナモミに比べると少ない。
種子で繁殖する一年生雑草であり、多くは春に芽生え、8月下旬ごろから開花する。出芽深度は大部分が4cmまでの層であり、8cmを越える深度からはほとんど出芽しない。
草丈は大きいもので2m近くになり、よく分枝し、全体的に短い毛におおわれる。茎や葉柄は成熟すると褐紫色を帯びる。
茎の先端に多数の雄花序が付き、その下方に雌花序がつく。花に花弁はない。果実は長さ1.8~2.5cmの楕円体で先の曲がった3~6mmのとげにおおわれており、中には2個の種子がある。
耕種的な手法としては、オオオナモミは土中深くから出芽できないため、プラウ耕により種子を深く埋め込むことが有効である。飼料用トウモロコシ畑では早生品種を導入し、オオオナモミの開花、結実前に収穫することによって、長期的にみると被害を減らす結果となる。また、トウモロコシの代わりにスーダングラスなどの初期生育の速い長草型牧草を散播することより、オオオナモミが育つ裸地スペースをつくらず、オオオナモミの開花結実前に牧草を刈り取ることで、より高い防除効果が期待できる。
化学的防除法としては、播種後に土壌処理除草剤を散布し、土壌処理剤の効果が切れた後に発生が見られた場合は、茎葉処理除草剤を用いて防除する。
播種後の土壌処理については、アトラジンまたはリニュロンを含有する薬剤(ゲザプリム、ゲザノンゴールド、ロロックス等)の効果が高いとされている。
一方、雑草生育初期の茎葉処理剤については、飼料用トウモロコシでは、ゲザプリム、バサグラン、ワンホープ、アルファードなどの全面処理が、ダイズでは、大豆バサグランの全面処理、ロロックス、バスタの畦間・株間処理、タッチダウンiQの雑草茎葉塗布処理などが高い効果を期待できる。
(大島匡郎)
※掲載している薬剤(農薬)は
2021年5月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)
・殺虫剤(IRAC)2022年6月版(ver.10.3) *PDFデータ
・殺菌剤(FRAC)2022年6月版 *PDFデータ
・除草剤(HRAC)2020年3月現在 *Excelデータ
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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