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難防除雑草

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

イタドリ

Fallopia japonica(イタドリ)
Fallopia sachalinensis(オオイタドリ)
タデ科

日本在来種で、国内は北海道西部以南に、海外はもともと台湾、朝鮮半島、中国に分布していたが、現在は欧米にも広がって問題となり、世界の侵略的外来種ワースト100 に選定されている。利尿や健胃薬として利用される。荒地、道端、土手などに群生し、草丈2mほどになる大型のタデ科の多年生雑草である。

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イタドリ
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イタドリ©全農教

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イタドリの群落©全農教

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イタドリの芽出し©全農教

イタドリ
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両種とも地下茎で繁殖する©全農教

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花期のイタドリ。両種とも雌雄異株で写真は雄株©全農教

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イタドリの葉は基部が切れた形©全農教

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オオイタドリの葉は基部が心形(ハート形)©全農教

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オオイタドリの果実。両種とも果実には翼がある©全農教


生態

果実には翼があり風で散布される。定着後は旺盛に地下茎が伸び、多くの芽を出して、急速に生長して群落を形成する。やや湿ったところを好むが、さまざまな場所に生育できる。茎は中空で多数の節をもつ。夏に葉腋に小さな花を穂状につける(雌雄異株)。冬に地上部が枯死するが、翌春に地下茎から新たな地上茎が萌芽する。
オオイタドリはイタドリに似るが、主に北海道から中部地方にかけて生育する。葉の基部が心形で草丈は3mほどとイタドリよりもさらに大型となる。
道路脇や堤防などで点検作業の支障になったり、旺盛な生育により生活地に侵入して防除が必要になる場合がある。頻繁に耕起が入る農耕地場面ではあまり問題にならないが、長らく更新を行っていない草地など、耕起されない場面では、繁茂して問題になる場合がある。

防除

刈払いにより防除する場合は、刈取り後他の植物に比べて旺盛に生育する場合が多く、頻繁に刈払いを行わないと十分な防除効果が期待できない。河川堤防では年に最低4回の刈払いが必要というデータがある。
すでに群落を形成している場所では、地下茎からの発生、繁茂を防止する目的で、耕起により地下茎を切断したり、地下茎そのものを除去する。種子発生の個体は大きくなる前に何度か耕起することで防除できる。
薬剤散布による防除は省力的である。薬剤の種類によって、効果の完成の遅速や、地下茎の枯殺程度が異なるため、目的に応じて選択する必要がある。

薬剤(農薬)

基本的には多年生雑草または多年生広葉雑草を対象雑草とする薬剤でイタドリ防除が可能である。
【農耕地周り】
非選択性茎葉処理剤の中では、ラウンドアップマックスロード、タッチダウンiQ、サンフーロンなどのグリホサートを有効成分にもつ薬剤が地下部まで枯殺できるので有効である。イタドリが生え揃った後、草丈が30cm程度になるまでに、適用範囲の多めの薬量を用いて茎葉によくかかるように散布する。ただし、作物の茎葉部に薬液が飛散すると著しい薬害を生じるので、十分に注意する。
【農道や家周り、空き地など】
前述したグリホサートを有効成分にもつ薬剤が有効である。その他では、アーセナル、ハイバーXなども使用できるが、いずれもグリホサート剤と同様に、イタドリが大きくなりすぎないうちに散布する。ただしこれらの薬剤は他の植物も全て枯らし裸地化してしまうおそれがあるため、のり面など崩れると困る場所での全面散布は控える。のり面などでノシバやチガヤなどのイネ科雑草を残しつつイタドリなどの広葉雑草を防除したい場合には、MCPPやザイトロン、ショートキープなどの広葉植物に選択的に作用する有効成分をもつ薬剤の茎葉散布が有効である。
(山木義賢)

※掲載している薬剤(農薬)は 2021年5月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)

RACコード(農薬の作用機構分類)

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 難防除雑草

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