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難防除雑草

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

アゼガヤ

Leptochloa chinensi
イネ科

本州から四国・九州まで見られる。特に西南暖地では水田畦畔や乾田直播水田で強害雑草として知られている。また、最近では汎用水田のダイズ作等での多発生が問題となっている。
アゼガヤは「ほふく型」と「そう生型」の2変異種が報告されているが、水田畦畔や転換畑で発生するものはほとんどが「ほふく型」である。ほふくした茎は節ごとに発根し、地上茎を次々に形成しながら伸長し水稲やダイズ群落よりも高く穂を抽出させる。この段階になると手取り以外に防除手段がない。
形成された穂の数は写真のように莫大な数となり、茎(穂)を一つずつ引き抜くことになる。また、茎の上部をつかんで引き上げても途中で切れてしまうので、発根した地際部の茎(節)をつかみ引き抜く必要があり、手取り作業は困難をきわめることになる。下記の防除法に示すように発生の初期段階での早期防除が重要である。

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アゼガヤ
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水田内に多発生したアゼガヤ©植調協会

アゼガヤ
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ダイズ畑で多発生したアゼガヤ©植調協会

アゼガヤ
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水稲収穫期の畦畔で優先化したアゼガヤ©全農教

アゼガヤ
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出穂したアゼガヤ©植調協会

アゼガヤ
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出穂期のアゼガヤ©全農教

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休耕田で繁茂したアゼガヤの出穂©植調協会

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ダイズ畑でのほふく枝の伸長©植調協会

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アゼガヤ(左)とタイヌビエの種子©植調協会

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7葉期のアゼガヤ(左)と4葉期のタイヌビエ©植調協会


生態

種子で繁殖する一年生イネ科植物である。種子はタイヌビエ等に比べると微細で小さいが、多産であり、1株で数万粒もの種子をつける。
種子の発芽適温は35~40℃でノビエより高く、最低温度は15℃で高温発芽性である。発芽には光を必要とし、暗黒では発芽しない。しかし、光を制限し発芽が低下した場合でも、その後の露光によって著しく発芽率が向上する。
出芽後2、3葉期の初期生育は遅く、6葉期の個体の草丈はノビエの4葉期の個体の約1/2程度である。畑における出芽盛期は7月上旬であり、発生から10葉までは1.5日ごとに出葉し、11~12葉以降はさらに速まり0.8日程度で出葉する。この時期の出葉は同時に2枚の葉が抽出し、一方の葉腋からは分げつする。主稈葉数20~30で出穂し、この場合の出穂日数ならびに結実日数はともに40日程度で、生育日数はきわめて短い。
穂は円錐花序をなし、3~5cmの糸状の枝梗20~30本をつけ、一つの枝梗で10~20の小穂をもつ。頴花は長径0.5~0.8mm、短径0.3~0.5mm、粒厚0.2~0.4mmで、種子の千粒重は100~150mgときわめて微細である。

防除

一般的に湛水された水稲栽培条件下ではほとんど出芽することはない。しかし、一時的な落水などにより出芽したアゼガヤは、4葉期、草丈1cm程度までであれば、湛水で死滅するが、それ以上に生育した個体は湛水の影響を受けないとされている。
水稲栽培では、田植え後初期段階から湛水深をしっかり保つことが重要である。1枚の水田でも田面の高低差がある場合は、田面が高い所で出芽し、生育を拡大していくことが多いので、田面の高低差ができるだけ少なくなるように、田面の均平化に努める必要がある。
また、水稲作では畦畔からの侵入が問題となるため、ほふく茎が水田内へ侵入する前に草刈りや畦畔用除草剤の散布が必要である。

薬剤(農薬)

畑作物の播種前に発生した雑草や畦畔の防除には、ラウンドアップマックスロ-ド、タッチダウンiQなどのグリホサ-ト剤、バスタ、ザクサ等のグルホシネ-ト剤、プリグロックスL等が有効である。なお、これらの除草剤を畦畔へ散布する場合は、周辺の作物へ薬液の飛散がないようにドリフト防止カバ-付き噴霧器を使用するなどの細心の注意が必要である。
ダイズ作では、土壌処理剤として、トレファノサイド、エコトップ、ラクサ-など多数の剤が有効であり、生育初期の茎葉処理剤としてはワンサイドP、ポルト、ナブなどが有効である。これらの剤はアゼガヤの草丈が4、5cm程度以上になると、効果が低下することがあるので、薬液の雑草への付着の良否も考慮すると、ダイズの葉数が4枚程度までに散布することが望ましい。
水稲作で田面が露出した場所や畦畔からの侵入が見られた場合には、クリンチャ-EW(シハロホップブチル)の全面散布が有効で、アゼガヤの出穂前であれば草丈60cm程度まで効果が期待できる。アゼガヤの茎葉に薬液が十分に付着するように散布する。なお、出芽揃い以降であればアゼガヤの葉齢が小さい段階で、早く散布した方が効果は高くなる。
(大隈光善)

※掲載している薬剤(農薬)は 2021年5月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)

・殺虫剤(IRAC、2016年4月版 ver.8.1) *PDFデータ

・殺菌剤(FRAC、2017年4月版) *PDFデータ

・除草剤(HRAC、 2016年9月版 *Excelデータ

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 難防除雑草

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