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カキの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

炭疽病(たんそびょう)

Colletotrichum horii (旧学名Glomerella cingulata)
《病原》糸状菌 《発病》新梢・葉・果実

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炭疽病(たんそびょう)
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葉柄の病斑 ©菊原賢次

炭疽病(たんそびょう)
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枝の病斑 ©菊原賢次

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硬化後の枝病斑 ©菊原賢次

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果実の斑点病斑 ©菊原賢次


被害

新梢、葉、果実に発生する。新梢では、中央がややくぼんだ紡錘形で黒色の病斑が形成される。新梢が硬化するにしたがい、病斑部も黒色〜褐色になり、亀裂を生じる。激しい場合には枯死に至る。葉では、葉柄に黒色の小斑点から紡錘形の病斑が形成され、落葉に至ることもある。6〜7月の幼果では、円形〜不整形の黒色の病斑を生じ、落果する。着色期前後の果実では、中央がややくぼんだ円形で黒色の病斑が形成され、果実は早く着色し、落果する。いずれの病斑も初期病斑は小斑点で、病斑部と健全部の境が不明瞭で、降雨後などに中央に鮭肉色の胞子粘塊(分生子層)が作られる。胞子は雨滴伝染する。

発生

主に前年の罹病枝で越冬する。平均気温が15℃以上かつ降雨を契機に胞子が作られる。特に20〜27℃で多量に形成される。最初に感染するのは新梢であり、伸長中の若い枝が感染しやすく、硬化後は感染しにくい。葉の発病はまれで、激発園や一部の品種で見られる。枝や葉の病斑は果実の重要な伝染源になる。果実の発病は6月から見られ、感染すると早期落果する。着色期に近づくにつれ、感染しやすくなる。5月の多雨は結果枝の発病が多くなり、果実での本病多発の原因となる。8月下旬〜9月の降雨は果実の発病を助長する。

防除

剪定時に罹病枝を除く。生育期も罹病枝、罹病果を取り除く。徒長枝は感染しやすいので、適切な肥培管理で発生を抑え、不要な徒長枝は取り除く。降雨が多い梅雨時期の薬剤散布も必要であるが、結果枝が生育する5月と果実が着色する盆明けから初秋の薬剤防除が重要である。

薬剤(農薬)

エムダイファー、オキシンドー、オーソサイド、キノンドー、ジマンダイセン、ストロビー、チオノック、デラン、トップジンM、トレノックス、ナリア、ペンコゼブなど。※掲載している薬剤(農薬)は 2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)

RACコード(農薬の作用機構分類)

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 カキの病害虫

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