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カキの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

カキノヘタムシガ[カキミガ]

Stathmopoda masinissa
チョウ(鱗翅)目ニセマイコガ科 《加害》新梢(新芽)・果実

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カキノヘタムシガ[カキミガ]
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カキノヘタムシガの食入痕(虫糞が出ている) ©全農教

カキノヘタムシガ[カキミガ]
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カキノヘタムシガの食入痕 ©坂神泰輔

カキノヘタムシガ[カキミガ]
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カキノヘタムシガ成虫。開長約15mm ©全農教

カキノヘタムシガ[カキミガ]
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果実内のカキノヘタムシガ幼虫 ©全農教

カキノヘタムシガ[カキミガ]
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果実を加害するカキノヘタムシガ幼虫 ©山口福男


被害

本種の被害は6,7月および8,9月の落果である。6,7月の被害は摘果の調整である程度カバーできるが、8,9月の被害は収量に直接影響するため深刻である。放任園があればその周囲で被害が多い傾向がある。幼虫が侵入した果実は変色し、やがてへたを残して落下する。樹上に残ったへたに小さな穴があり虫糞がみられたら本種の被害である。他にカキの果実が落下する原因としては、6月頃の生理落果、7,8月のカメムシの被害による落果、梅雨期や秋期の炭疽病による落果等があるが、生理落果は果実やへたに傷がないこと、カメムシの被害は加害痕(果樹カメムシ類の項参照)、炭疽病の被害果には黒色病斑(炭疽病の項参照)があり、本種の被害と区別できる。また、へたや果実表面に虫糞を生じる害虫としてはモモノゴマダラノメイガ、ハマキムシ類があるが、幼虫が果実深く進入せず落果には至らないので区別できる。

発生

成虫は年2回(5月中旬~6月中旬、7月中旬~8月中旬)発生する。卵は頂芽など新芽の周囲に産下される。幼虫は葉芽に食入し3齢期になると果実に移動する。第1世代の幼虫は数個の幼果を次々に加害するが、2世代目は1個の果実で育つ。第1世代にくらべ第2世代の発生はピークが緩やかでだらだら続く傾向がある。

防除

前蛹でカキの粗皮下で越冬するため、休眠期の粗皮削りが有効である。粗皮削りは本種のみならず多くの樹上越冬害虫に有効であり推奨される。水圧式のバークストリッパーを活用すれば作業時間が短縮でき効率的である。薬剤防除の場合は、葉芽を加害している時期に散布する。幼虫が果実に食入した後は効果が劣る。概ね、成虫の最盛期約10日後が目安であり、第1世代については富有の開花盛期(約80%開花)が成虫最盛期にあたるという報告がある。また、性フェロモンを主成分とする交信かく乱剤(ヘタムシコン)も農薬登録されている。

薬剤(農薬)

アタブロン、オルトラン、サムコル、ジェイエース、スミチオン、ノーモルト、フェニックス、ヘタムシコン※掲載している薬剤(農薬)は 2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(FAMIC:外部サイト)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表を農薬工業会が日本語に翻訳:外部サイト)

・殺虫剤(IRAC)2022年6月版(ver.10.3) *PDFデータ

・殺菌剤(FRAC)2022年6月版 *PDFデータ

・除草剤(HRAC)2020年3月現在 *Excelデータ

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 カキの病害虫

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