診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除について簡潔に解説しています。
果実表面に1個ずつ産下された卵からふ化した幼虫が果実内に食入、果肉を摂食しながら発育する。ふ化幼虫の食入孔は針で刺された程度に小さく、虫糞を果実外に排出しないため、初期段階の被害果を認識することは難しい。食入孔から汁液が溢れて乾固し、透明なひも状に垂れ下がることもある。老熟した幼虫は果実表面に2~3mm程度の大きさの孔を開け、そこから脱出して土中で蛹化する。
地域や標高によるが年1~2回の発生がある。フェロモントラップへの雄成虫の誘殺消長によると山梨県では2回の発生があり、5月下旬~9月上旬まで断続的に成虫の発生が観察されるが、発生盛期は越冬世代成虫が6月、第1世代成虫が8月になる。
卵は直径0.3mm程度で球形、産卵の直後は橙黄色であるが,成熟にともない赤色が濃くなる。また、先が二股に分かれたY字形の突起を多数もつことが特徴的である。幼虫は、若齢時は乳白色であるが、老熟すると橙赤色に変化し、体長12mm程度に達する。土中で繭を作って蛹化するが、非休眠か休眠かによって形状が異なる。成虫は開張12~20mm、前翅に三角形の斑紋がある。雌は下唇鬚が長く前方に伸びる。
成虫の発生盛期を中心に、樹上に果実がある期間を通じて、殺虫剤の散布による防除を実施する。また、性フェロモンを用いた交信かく乱剤による防除も有効である。また、果実袋による物理的防除効果も高いため、早めに袋かけを行う。成虫の発生直前に中耕し、繭をすき込むことで、羽化を阻害する方法もある。
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