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ハンドブック モモの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除について簡潔に解説しています。

ハダニ類


ダニ目ハダニ科 《加害》葉

ナミハダニ

Tetranychus urticae

カンザワハダニ

Tetranychus kanzawai

リンゴハダニ

Panonychus ulmi

クワオオハダニ

Panonychus mori

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ナミハダニ成虫(右)、若幼虫(左)と卵(上、白色) Ⓒ簑島萌子

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ナミハダニ幼虫と卵 Ⓒ簑島萌子

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カンザワハダニ成虫 Ⓒ高井幹夫

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クワオオハダニ越冬卵 Ⓒ内田一秀

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ナミハダニ被害葉 Ⓒ簑島萌子


被害

ナミハダニとカンザワハダニは葉裏、リンゴハダニとクワオオハダニは葉の表裏に寄生し、加害する。ナミハダニは葉の裏側の中肋に沿って吸汁し、葉が白化する。多発すると早期落葉につながることがある。カンザワハダニは葉脈間に寄生して吸汁し、白い斑点を生じる。多発すると、主脈沿いや全面に白斑が生じる。リンゴハダニに加害された葉は全体がかすり状となる。クワオオハダニの被害は白い斑点として現れる。最初に主脈と葉縁部、葉柄部を加害し、他の部分へと広がる。

発生

年間7~十数世代発生するとされている。地域によって発生回数は異なる。ハダニ類は一般的に6月下旬頃から増加し始め、梅雨明け後に密度が急増する。種により7月下旬~8月中旬頃に最盛期を迎える。発生時期はその年の気象条件に大きく影響される。ナミハダニ、カンザワハダニは雌成虫で幹や枝の粗皮下、地表の落葉下や雑草で越冬する。クワオオハダニ、リンゴハダニは枝の分岐部や芽の基部、樹皮のくぼみ等に産み付けられた卵で越冬する。越冬卵は4月中下旬からふ化する。

形態

ナミハダニの雌成虫は0.6mm内外、雄成虫は0.5mm内外。淡黄または淡黄緑色で、胴部の左右に顕著な大型黒紋をもつ。休眠雌は淡橙色で黒紋を欠く。卵は白~淡黄色。カンザワハダニの雌成虫は0.5mm内外、雄成虫は0.4mm内外。くすんだ赤色、体側に不規則な暗色斑部をもつ。休眠雌は全体が朱色。卵は乳白色でふ化が近づくと赤みを帯びる。リンゴハダニの雌成虫は0.4mm内外、雄成虫は0.3mm内外。暗赤色を呈する。胴体部に白いこぶがあり、そこから太い胴背毛が生える。卵は赤色。クワオオハダニの雌成虫は0.5mm内外、雄成虫は0.4mm内外。夏型雌は暗赤色を呈し、胴背毛基部のこぶは白色を帯びた赤色。夏卵は白~淡橙色で、休眠卵は濃赤色。

防除

生育期に殺ダニ剤を散布する。多発してからでは十分な効果が得られないため、園内をよく観察し、発生初期に防除する。

収録:防除ハンドブック「 モモの病害虫

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