診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除について簡潔に解説しています。
モモアカアブラムシは葉裏に寄生する。寄生された葉は不規則に巻かれ、甚だしい場合は新梢伸長が停止する。モモコフキアブラムシも前種と同様、葉裏に寄生する。葉が巻縮することはほとんどないが、大量の排泄物を出し、果実や葉がすす状に汚れる。
モモアカアブラムシは、冬寄主であるモモ等の、枝の芽付近に産み付けられた卵で越冬する。3月頃にふ化し、モモの発芽までにはほとんどが完了する。ふ化後の幼虫はつぼみや芽に寄生して発育し、葉が展開してくると葉の裏面に寄生して増殖する。数世代をモモの樹上で経過した後、5月中旬頃から有翅胎生雌虫が現れ、夏寄主へ移動する。10月頃に有翅の産雌虫が冬寄主であるモモに再び飛来し、無翅の卵生雌虫を産む。これが有翅の雄と交尾し、越冬卵を芽や樹皮の隙間に産み付ける。モモコフキアブラムシは、冬寄主であるモモ等の、枝上に産み付けられた卵で越冬する。春先にふ化して新葉の裏面に寄生する。被害の発生はモモアカアブラムシよりやや遅れ、ピークは5月下旬~6月頃である。7月に入ると有翅の雌虫が現れ、夏寄主であるアシやヨシなどのイネ科植物に移動する。10月頃までこれらの植物で世代を繰り返し、晩秋になると冬寄主であるモモに再び飛来し、受精卵を枝上に産み、越冬に入る。
モモアカアブラムシの無翅胎生雌虫の体長は約2mm。体は白色、黄色、黄緑色、緑色、赤褐色と様々な色を呈する。モモコフキアブラムシの無翅胎生雌虫の体長は約2~2.5mm。体は黄緑色や緑色を呈し、白色粉状ロウ質物でおおわれている。
モモアカアブラムシは落花直後、モモコフキアブラムシは5月下旬頃に、薬剤による防除を行う。モモアカアブラムシは、発生が多くなり葉が巻いてからの防除では効果が劣るため、発生初期の防除に重点をおく。また、モモアカアブラムシに対して、休眠期のマシン油乳剤の散布は効果が高い。殺卵効果はなく、ふ化した幼虫に効果が高いため、ふ化がほぼ完了する発芽直前頃に散布する。
稲の病害虫と雑草 |
ムギ類の病害虫 |
豆類の病害虫 |
ジャガイモの病害虫 |
サツマイモの病害虫 |
アブラナ科野菜の病害虫 |
トマト・ナス・ピーマンの病害虫 |
キュウリ・スイカ・メロンの病害虫 |
イチゴの病害虫 |
ネギ類の病害虫 |
菜園の病害虫 |
カンキツの病害虫 |
リンゴの病害虫 |
日本ナシの病害虫 |
西洋ナシの病害虫 |
モモの病害虫 |
カキの病害虫 |
ブドウの病害虫 |
花の病害虫 |
難防除雑草