診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除について簡潔に解説しています。
幼果では、小指大(西南暖地では5月上旬頃)頃から発生し、その後の気象に応じて病勢が進展する。はじめ径1〜2mmの淡褐色斑〜茶色の丸い病斑を生じ、果実の肥大に伴い病斑が拡大すると、周囲がやや不整形、茶褐色〜黒褐色のかさぶた状でややへこみ、病斑内部に亀裂やヤニを生じる。激しくなると数cm大に病斑が連なったり、亀裂が病斑の外側にまで及ぶ。激発すると、収穫期にはほぼ全果実が発病することもある。葉では、4月下旬〜5月上旬頃から発病する。はじめ5〜10mm大の円形〜不正形の灰色〜緑黄色の病斑を生じ、数日後に拡大して茶褐色となり、抜け落ちて穴があく。葉脈が侵されると葉脈に沿った数cm大の褐変病斑に拡大する。多発した葉は落葉する。新梢では、5月中〜下旬頃から発病する。はじめ数mm大の赤〜褐色の円形病斑ができ、その後拡大して茶褐色となりやや窪み、縦に亀裂してヤニを生じることもある。褐変部分は木質部に達する。病斑が多数連なって長さ数cmに達することもある。細い枝では病斑から先が枯れることもある。芽では開花期以後に不発芽や芽枯れを生じる。花では、開花後に茶褐色となって枯れる。
病原菌は枝病斑で越冬し、4月以降に枝病斑上に形成された分生子が風で飛散して伝染する。7月以降には新梢の枝病斑上にも分生子ができ、前年の枝病斑と併せて秋まで分生子の飛散が続く。果実の病斑上にできた分生子による二次伝染が起こることもある。発病適温は、果実では15〜25℃、葉では25℃で、潜伏期間は、幼果では3〜4日、葉では3〜7日である。降雨が数日続くと、その数日後から果実や葉の発病が急速に進む。梅雨明け〜8月中旬の高温乾燥時期には病勢がいったん停滞ぎみとなるが、8月下旬〜秋雨の時期には再び葉や枝での発病が進む。山際で風通しの悪い園地や、近くにため池や川があり湿度が高い園地などで発生が多い。耐病性の品種間差がみられ、清水白桃は弱く、白鳳、浅間白桃、加納岩白桃などは中程度、日川白鳳、橋場白鳳、川中島白桃、まさひめ、黄金桃などはやや強い。
発病枝や発病果は見つけ次第処分する。清水白桃等の激しい発病樹は伐採し、他の品種に転換する。密植、過繁茂を避け、圃場の通風を良くする。登録農薬は1剤のみであるが、防除効果は低い。灰星病、黒星病などの登録農薬で、これらの病害防除を徹底していれば、本病への予防効果が期待できる。
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