診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除について簡潔に解説しています。
主に果実と枝に発病する。果実では、無袋栽培の成熟果に発病し軟化腐敗する。幼果や未熟果には発生しない。圃場においては虫害痕などの傷口からの感染発病はあるが、これらがない果実ではまれで、大部分は収穫後の輸送中や店頭の成熟果に発生する。枝では早春頃から健全部との境界が明瞭な褐色の病斑を形成し、先枯れや芽枯れ症状を呈する。
病原菌は枯死枝、果梗、剪定痕の枯込み、芽枯れなどの発病部位で越冬し、被害部に形成された柄子殻中の柄胞子が第一次伝染源になる。梅雨期に雨媒伝染により果実や枝に感染・発病する。果実には小さなやや窪んだ円形、淡褐色病斑を生じ、その後軟腐病斑が次第に拡大して全面に及ぶ。この頃、病斑部を指で押すと健全部との境界部からえぐり取れる。末期には病斑部は円形のシワを生じてへこみ、病斑上には灰白色〜黒色の小粒点(柄子殻)を形成する。枝では感染の当年よりも翌春に発病することが多い。本病菌に対する罹病性は現在栽培されている品種間に差異はないが、早生種では感染機会が短いのに対して、中生種や晩生種では長いために被害も多くなる。
有袋栽培により果実感染を回避できる。収穫開始5週間前〜3週間前までの薬剤防除を徹底する。枝では剪定時に先枯れ部位を剪除する。
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