診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除について簡潔に解説しています。
主に有袋栽培で問題となる。幼虫が袋内に侵入し、果実表面を吸汁する。吸汁部は着色が不良になる他、排泄物に雑菌が繁殖してすすが発生し、果実が黒色に汚れる。
主に粗皮下や大枝切口の隙間等に産み付けられた白綿状の卵のう内の卵で越冬する。卵からふ化した幼虫は定着場所を求め活発に歩行する。発生回数は暖地では年3回、寒地や高標高地では年2回である。年3回発生の場合、越冬卵からふ化した幼虫は5月頃から発生し、第1世代ふ化幼虫は7月頃、第2世代ふ化幼虫は8月~9月頃に発生する。しかし、通常、発生はかなり不規則で、夏季には卵から成虫までの各態のものが同時にみられる。10月頃に成熟して産卵し越冬に入るが、卵の休眠化傾向は産地によって異なる。
雌成虫は楕円形で、体長3~4.5mm。黄褐色~暗褐色で白色粉状のロウ質物でおおわれる。体周縁部には17対のロウ質分泌物の突起があり、尾端の1対は特に長く、体長の約1/2に達する。卵は黄色~橙色の楕円形で、長径約0.3~0.4mm。
ふ化幼虫発生期の薬剤防除が効果的である。越冬世代は発生時期がそろっているので特に防除しやすいが、第1世代、第2世代と世代を重ねると発生時期が不ぞろいになり防除効果が劣る。幹や太枝にも十分かかるよう丁寧に散布する。また、耕種的防除法として休眠期の粗皮削りによる越冬卵の除去も有効である。
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