診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除について簡潔に解説しています。
本病は果実だけに発病する。成熟期近く(果実発育第3期以降)に果実の表面に灰色〜黒褐色で、薄くすすがついたような不整形の斑紋状の汚斑を生じる。乳白色系品種では、赤色系品種に比べて汚斑が目立つ。赤色系品種では汚斑部分を含め、病原菌の菌糸が増殖した果皮部分は、収穫期になっても着色が不良となり、まだら状に着色するため外観を損なう。
本菌はモモの枝で潜伏して越冬する。翌春に生じた分生子が風で飛散して幼果に伝染する。菌糸の伸長は非常に緩やかで、成熟期近くになって発病する。このため、有袋栽培では収穫時に発病に気づく場合が多い。汚斑は果実表面で増殖した菌糸の色によるもので、果肉の褐変はみられない。幼果期〜収穫期に曇雨天日が多い年は発生が多い傾向があり、通風や日照が不良で、湿度が高い環境の園地で発生が多い。晩生品種>中生品種>早生品の順に発生が多い傾向がある。
無袋栽培では発生が多いので、袋かけする。密植を避け、圃場の通風を良くする。発病後の薬剤防除の効果は低いので、発病前からの予防散布が重要である。例年発生がみられる園地では、幼果期に7〜10日間隔で2〜3回防除すると予防効果が高い。
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