診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除について簡潔に解説しています。
モモのうどんこ病菌には、主に葉を侵す種類と果実のみを侵す本種の2種類がある。西南暖地では5月中旬頃から、幼果実の表面に直径数mmの白色、円形、粉状の斑点を生じ、果実の肥大に伴って1〜2cm大に拡大する。複数の病斑ができる場合もある。その後は病斑上の白い菌そうは薄れて、毛じや果皮が淡褐色に変色した病斑となり、果実の肥大が進むと、病斑部に亀裂を生じることが多い。亀裂を生じない程度の軽微な病斑でも、成熟時には褐変の跡が残るため商品にはならない。通常の発生程度であれば、発病果を摘果すれば問題ないが、仕上げ摘果時まで病勢進展が続くと、まれに減収となる場合もある。なお、最近、リンゴ園に隣接するモモ園で、リンゴうどんこ病菌(Podosphaera leucotricha)がモモの幼果に感染して、褐色斑点症状を生じる事例が明らかになっている。
本菌は枝上の芽の部分で越冬すると考えられている。翌春に生じた分生子が風で飛散して幼果に伝染する。果実からの二次伝染も考えられるが、感染は6月頃までに限られる。4〜5月に晴天日が多い年は発生が多い傾向がある。品種間差異については、一部の品種で発生が多い事例がみられるが、詳しいことはわかっていない。
発病果実は見つけ次第摘み取る。袋かけ時には発病の有無をよく観察し、健全果実に被袋する。発病後の薬剤防除の効果は低いので、発病前からの予防散布が重要である。例年発生がみられる園地では、落花後から7〜10日間隔で2回防除すると予防効果が高い。
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