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ハンドブック モモの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除について簡潔に解説しています。

いぼ皮病

Botryosphaeria berengeriana
《病原》糸状菌 《発病》枝、幹

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いぼ皮病
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枝の生育が不良な発病樹 Ⓒ那須英夫

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幹の陥没病斑 Ⓒ那須英夫

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一年生枝のいぼ病斑 Ⓒ那須英夫

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二年生枝のいぼ病斑 Ⓒ那須英夫

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発病枝に発生したヤニ Ⓒ全農教


被害

枝、幹に発生する。一年生枝では、夏以降に基部付近に直径3mm程度のいぼが多数現れる。年数がたつと、いぼ同士が重なり合い、樹皮の表面に亀裂を生じ、がさがさした状態になる。基部が激しく侵された枝は、次第に衰弱して枯死する。太い枝や幹では、皮目を中心に5〜1mm大の円形のへこんだ病斑を生じ、後に膨れてイボになる。イボの樹皮下にはヤニ(樹脂)がみられ、後に表面が粗造となり、降雨後などには盛んにヤニを出す。激しい場合には、樹全体が衰弱し、枯死する場合もある。若木では発病しても被害は軽いが、十年生以上の成木では被害がひどくなる。

発生

病原菌は枝や幹の罹病部の表皮下に生じた柄子殻と呼ばれる耐久器官で越冬する。そこで生じた柄胞子が、4〜10月に雨滴に混じって飛散し伝染するが、特に梅雨期の6〜7月が最も多く、主要な感染時期となる。多発事例によると排水不良園、やせ地、連作園で発生が多い傾向がある。本病はいずれの品種にも発生し、品種間差異は特にみられない。

防除

本病が広がってからの治療は非常に難しいため、以下の予防策に努める。苗木で持ち込まれる事例があるため、無病苗木を植栽する。接ぎ木用の穂木は、未発病樹から採取する。自家育苗する場合は無病園で行う。樹勢が弱くなると発病しやすくなるため、適切な肥培管理を行う。重症樹の治療は難しいため伐採する。改植する場合は、改植樹の再感染のリスクを減らすため、できるだけ広い面積を行うか、可能なら全面改植とする。本病に対する登録農薬はないが、黒星病や灰星病の登録農薬で、薬液が枝幹に十分かかるように散布して両病害を防除すれば、本病への予防効果も期待できる。

収録:防除ハンドブック「 モモの病害虫

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