診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
葉、果実、緑枝に0.1〜0.5mmほどの黒点が発生する。枯枝直下の果実は濃厚感染し、雨滴の流れに沿った涙斑状や泥塊状の病斑を形成する。中晩柑の清見では盛り上がった大きな病斑が多い。極早生温州の果実肥大期に感染すると、比較的大きな病斑になり、病斑表面にひび割れを生じる。着色初期に感染すると黒点の周りの着色が遅れ、緑斑黒点を形成する。
多雨が発生を助長する。伝染源は二つあり、一つは樹冠内部の枯枝である。柄胞子が形成され、降雨のたびに流れ出し、主に樹冠内部の果実が発病する。このため、枯枝のそばや下の果実で多発する。もう一つは切株や園の内外に放置された剪定枝である。これらには子のう胞子が形成され、風で運ばれて樹冠外周部の果実が発病する。ハウス栽培でも樹上からの灌水によって被害を生じることがある。黒点病斑からの二次伝染はない。
伝染源である枯枝の発生を抑制するために密植を改め、樹冠内部の日照を良好に保つ。枯枝は適宜除去し、剪定枝を園内や周囲に放置しない。切株には肥料袋などをかぶせ、子のう胞子の飛散を防ぐ。薬剤散布は極早生品種では落弁期から開始する。薬剤散布後の累積降雨量が250〜300mmに達した時点が次回散布の目安となる。ただし、累積降雨量が少なくても、散布1か月後をめどに散布する。
落弁期はそうか病、灰色かび病との同時防除でストロビー、ナリア、ファンタジスタ、フルーツセイバー、フロンサイドなど。
6月上旬以降はエムダイファー、マンゼブなど。
9月以降の後期被害対策としてストロビー、ナティーボ、フルーツセイバーなど。
※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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