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カンキツの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

疫病(苗疫病、すそ腐病)

Phytophthora nicotianae, P.citrophthora
《病原》糸状菌  《発病》新梢・葉・地際

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疫病(苗疫病、すそ腐病)
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芽の黒枯れ症状(苗疫病)

疫病(苗疫病、すそ腐病)
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穂木から伸長した新梢に発生した症状(苗疫病)

疫病(苗疫病、すそ腐病)
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黒褐色の円形大型病斑(苗疫病)

疫病(苗疫病、すそ腐病)
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ネーブルの地際部から進展している病斑(苗疫病)

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地際部の症状(すそ腐病)

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ヤニをふいている地際部の症状(すそ腐病)


被害

疫病には苗疫病とすそ腐病がある。苗疫病では幼芽や新梢が黒枯れ状になり、新葉には黒褐色油浸状の円形大型病斑を形成し、落葉する。病勢の進行は極めて早い。2年生以上の大苗で発生することはまれである。中晩柑、不知火等では高接ぎした場合に苗疫病とそっくりの症状が発生するが、これはカルシウム欠乏によるもので、葉面散布で予防できる(カルシウム欠乏による新梢枯死症状の項を参照)。すそ腐病では主幹の地際部に発病する。皮層は枯死して剥離し、腐敗は木質部に達するが、台木のカラタチには進展しない。病斑が幹を囲むと葉は黄化して落葉し、後に樹は枯死する。

発生

病原菌は土壌中に生息しており、降雨時に雨滴とともにはね上がって感染する。苗疫病では春芽や夏芽の伸長期に長雨にあうと多発し、集中豪雨は発生を助長する。秋雨期にも発生する。大苗の大量育成のための密植・窒素過多栽培で多発する。すそ腐病も梅雨期に発生する。深植えや樹の地際部をわら等で覆うと過湿になって発病しやすくなる。

防除

苗木を育成する時は連作を避ける。苗木を植付けるときは浅植えにし、台木部が地表面に出るようにする。園内の排水をよくして地表が乾燥しやすくする。

薬剤(農薬)

苗疫病に対してアリエッティ、フロンサイド。病勢の進展が急なので、早期発見が大切である。発生を認めたら直ちに散布する。
すそ腐病の病斑は削り取って癒合剤等を塗布する。

※掲載している薬剤(農薬)は 2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)

RACコード(農薬の作用機構分類)

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 カンキツの病害虫

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