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カンキツの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

接木部異常病

Apple stem grooving virus(ASGV)
《病原》ウイルス  《発病》接木部・樹全体

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樹勢衰弱の様子

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カラタチ台(緑色)と穂木(黄白色)の 接木部に形成された界層

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サメの歯状のギザギザしたくびれ(界層)

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SDV・ASGVクロマト判定の様子(上から滴下前、ともに陰性、SDV陽性・ASGV陰性、SDV陰性・ASGV陽性、ともに陽性の順)


被害

台木がカラタチまたはカラタチの交雑種(シトレンジなど)で、穂木がウイルスを保毒していると樹種に関係なく発病する。保毒穂木を接木して、苗木では2〜3年、高接ぎの場合は3〜4年で葉が黄化して落葉する。その後、枝が枯れ込み、衰弱・枯死する。当初は着果量が多く、果実が早熟化する。衰弱前は着花量が多くなるが、落花が激しく、着果は望めない。カラタチ台と穂木部、あるいは中間台木部との接合部の表皮をはぐとサメの歯状のギザギザしたくびれ(界層)が形成されている。これはウイルスに対するカラタチ台の抵抗反応で、この界層によって養分の流通が妨げられる。外見は接合部のすぐ上の穂木や中間台の組織が異常に肥大してこぶになる台負け症状を呈し、台風時などに界層部から折れることがある。

発生

病原を保毒している穂木を高接ぎしたり、保毒苗木を植え付けたりすると発病する。剪定バサミやノコ、接木ナイフで極めて低率ではあるが伝染する。土壌伝染せず、媒介虫はいない。

防除

高接ぎ用の穂木は無毒樹から採取する。無毒苗木を植え付ける。保毒が疑われる穂木、苗木については検定を行い、保毒の有無を確認する。検定試料の採集、検定方法については温州萎縮病と同様である。発病初期であれば、本ウイルスに反応しないゆずの根接ぎで樹勢を維持できるが、果実糖度は低下する。土壌伝染しないので、衰弱樹は早めに無毒樹に植え替える。

薬剤(農薬)

適用登録薬剤なし。

※掲載している薬剤(農薬)は 2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)

RACコード(農薬の作用機構分類)

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 カンキツの病害虫

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