診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
黒点病に類似しているがそれよりもずっと小さい黒点が、果実の油胞間隙に形成される。これは病原菌が気孔の孔辺細胞から侵入するが、油胞上には気孔がないので油胞間隙にのみ発生するためで、発病が激しいと網目状にみえる。集合した病斑はコルク化して銀灰色を呈し、くもの巣状あるいは風ずれ状になることもある。着色期に発病すると黒点の周りの着色が遅れて緑斑を形成する。極早生で被害が大きい。緑斑は着色が進むにつれて目立たなくなる。早生温州でも発生が多く、中晩柑の伊予柑、日向夏等でも問題になる。
密植園、通風・日照が不良の園で多発する。D. medusaeaの伝染源は黒点病と同じく枯枝で、特に摘果後の枯死した果梗枝が重要である。降雨が多い6〜8月が感染時期である。A. citriは黒腐病を引き起こす菌でもあり、枯草などの表面で増殖し、園内を飛散しており(黒腐病の項を参照)、8〜10月が感染時期である。速効性の除草剤を使用すると枯草上での胞子形成量が激増し、多発する。ともに雨が多いと被害が大きい。着色前の果実では発病しているかどうか分かりにくいが、着色期になると急に目立ってくる。小黒点病斑からの二次伝染はない。
D. medusaeaによる小黒点病は黒点病を対象とした薬剤散布で同時防除される。A. citriによる実害は通常は少ないが、菌密度を高めないために夏季〜初秋季に速効性の除草剤を使用しない。
エムダイファー、マンゼブ。
※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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