病害虫・雑草の情報基地

新規会員登録

カンキツの病害虫

診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。

小黒点病

Diaporthe medusaea, Alternaria citri
《病原》糸状菌  《発病》果実

写真をクリックすると拡大します

小黒点病
閉じる

摘果痕の周囲に発生した症状

小黒点病
閉じる

果実全体に発生した緑色網目状の症状

小黒点病
閉じる

激発しているが、油胞には無発生

小黒点病
閉じる

網目状病斑(拡大)

小黒点病
閉じる

コルク化した銀灰色病斑(黒点病斑も散在)

小黒点病
閉じる

薬液の乾きが悪い部位に発生した症状


被害

黒点病に類似しているがそれよりもずっと小さい黒点が、果実の油胞間隙に形成される。これは病原菌が気孔の孔辺細胞から侵入するが、油胞上には気孔がないので油胞間隙にのみ発生するためで、発病が激しいと網目状にみえる。集合した病斑はコルク化して銀灰色を呈し、くもの巣状あるいは風ずれ状になることもある。着色期に発病すると黒点の周りの着色が遅れて緑斑を形成する。極早生で被害が大きい。緑斑は着色が進むにつれて目立たなくなる。早生温州でも発生が多く、中晩柑の伊予柑、日向夏等でも問題になる。

発生

密植園、通風・日照が不良の園で多発する。D. medusaeaの伝染源は黒点病と同じく枯枝で、特に摘果後の枯死した果梗枝が重要である。降雨が多い6〜8月が感染時期である。A. citriは黒腐病を引き起こす菌でもあり、枯草などの表面で増殖し、園内を飛散しており(黒腐病の項を参照)、8〜10月が感染時期である。速効性の除草剤を使用すると枯草上での胞子形成量が激増し、多発する。ともに雨が多いと被害が大きい。着色前の果実では発病しているかどうか分かりにくいが、着色期になると急に目立ってくる。小黒点病斑からの二次伝染はない。

防除

D. medusaeaによる小黒点病は黒点病を対象とした薬剤散布で同時防除される。A. citriによる実害は通常は少ないが、菌密度を高めないために夏季〜初秋季に速効性の除草剤を使用しない。

薬剤(農薬)

エムダイファー、マンゼブ。

※掲載している薬剤(農薬)は 2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。


■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)

■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。

農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)

RACコード(農薬の作用機構分類)

※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。

収録:防除ハンドブック「 カンキツの病害虫

目次へ戻る  | 病害画像インデックス | 害虫画像インデックス  | ホームへ戻る

稲の病害虫と雑草 |  ムギ類の病害虫 |  豆類の病害虫 | 
ジャガイモの病害虫 |  サツマイモの病害虫 |  アブラナ科野菜の病害虫 | 
  トマト・ナス・ピーマンの病害虫 |  キュウリ・スイカ・メロンの病害虫 |
   イチゴの病害虫 |  ネギ類の病害虫 |  菜園の病害虫 | 
カンキツの病害虫 |  リンゴの病害虫 |  日本ナシの病害虫 |
   西洋ナシの病害虫 |  モモの病害虫 |  カキの病害虫 | 
ブドウの病害虫 |  花の病害虫 |  難防除雑草