診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
病原は温州萎縮病ウイルスに極めて近縁で、同様の被害を及ぼすが、温州みかん果実にトラミカンと呼ばれるモザイク(斑紋)症状を引き起こす点で異なる。主として果実にのみ症状を現すので、果実の成熟期にならないと判別できない。果実の病徴はレモンにも発生する。温州萎縮病に似た舟型葉を現すが、程度は軽い。ウイルスの系統によっては葉のみに萎縮症状を現し、モザイク症状が出ないものもあり、このような場合は温州萎縮病と外見では区別できない。
病原ウイルスを保毒した穂木の高接ぎや、保毒苗木の植付けで発病する。土壌伝染するので発病樹を伐採したあとに健全苗木を植付けても発病する。剪定バサミやノコ、接木ナイフで伝染することはなく、アブラムシ等で虫媒伝染しない。
高接ぎ用の穂木は無毒樹から採取する。無毒苗木を植付ける。保毒が疑われるときは検定を行い、保毒の有無を確認する。ELISA検定では春葉伸長時期のサンプルを用いる。遺伝子診断では一年を通して診断できる。検定は最寄の関係機関に依頼する。温州萎縮ウイルス検定免疫クロマトグラフィーSDVクロマトで診断できる。発病樹は伐採・抜根する。発病跡地に再度カンキツを植付けず、落葉果樹類に転換するほうが無難である。どうしても植えるときは汚染土を健全土に入れ替えるか、抜根後に残った根をていねいに拾い集め、土壌消毒する。保毒サンゴジュは抜根して焼却する。
発病跡地土壌対策としてクロルピクリンを苗木植付前に処理する。
※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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