診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
成虫が幼果から着色期の果実を吸汁することにより、発生する。口針を果肉まで刺し込むため、被害部位は果肉と果皮が癒着し剥皮しにくくなる。果肉は吸汁されると水分がなくなって硬化し、食味が悪くなる。着色期前に吸汁されると加害部周辺の果皮は異常着色し、落果しやすくなる。大発生すると集団で新梢などを吸汁加害する結果、枝が枯死することがある。
種々のカメムシがカンキツを加害するが、主要種はチャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシである。本州のカンキツ産地では3種が生息するが、チャバネアオカメムシが主体である。西南暖地ではツヤアオカメムシの割合が高くなる。各種とも、山林のスギ・ヒノキなどの毬果に寄生しており、ここで産卵、繁殖する。幼虫は5齢を経て成虫になるが、カンキツ園内ではクサギカメムシを除き幼虫はほとんど成育できない。チャバネアオカメムシは落葉下、ツヤアオカメムシは常緑樹の樹冠内、クサギカメムシは家屋内などで成虫越冬する。越冬量が多いと7~8月に果実が加害される。スギ・ヒノキの着果量が多い年は夏季~秋季に山林での繁殖量が多くなる。種によって異なるが卵から成虫まで約1か月で、年2~3世代を繰り返す。山林で、カメムシによりスギ・ヒノキの毬果の吸汁が進むと、そこで育った新成虫は離脱し、カンキツ園に飛来する。新成虫の発生が多い年は9月以降に被害が増加する。カメムシによる加害は通常は10月末で終息するが、最高気温が20℃を上回れば11月でも加害することがある。
カメムシ類の発生量は年次変動が大きいので、発生予察情報に注意し、発生が多いと予想される年は注意する。カンキツ園に成虫の飛来が見られる場合は登録薬剤の散布を行う。各種薬剤の残効性は7~10日なので、発生予察情報、予察灯やフェロモントラップの調査結果を参考にしながら適期防除を行う。成虫の移動範囲が広いことから地域一斉防除を行うと効果が高いとされている。
アクタラ、アグロスリン、アドマイヤー、アルバリン、スタークル、ダントツ、テルスター、ロディーなど。
※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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