診断のための特徴的な写真を掲載し、被害、発生、防除、薬剤(農薬)について簡潔に解説しています。
1~2齢幼虫は新梢の未硬化葉を食害し、3齢以降の幼虫は硬化葉も食害する。5齢幼虫の食害量は特に多く、1匹の幼虫により1つの新梢の葉が全て摂食される。成木園の結果樹では、アゲハの密度が高くなる夏季に新梢の発生量は少ないこと、アシナガバチ、スズメバチや鳥などの捕食生物が有効に働くこと、夏秋梢の被害は果実の生産や樹の生育に直接影響しないことなどから、実害は小さい。しかし、夏季に新梢を多数発生させる苗木、髙接ぎ樹、隔年交互結実を行う樹では防除が必要である。
蛹で越冬し、成虫は4~5月に羽化して新梢に1卵ずつ産卵する。茶褐色の1~4齢幼虫、緑色の5齢幼虫を経て、蛹化する。蛹化場所によって蛹の体色は緑色の個体と褐色の個体に分かれる。本州ではアゲハが最も多い。アゲハは卵から約1か月で成虫となり、10月頃までに5世代程度を繰り返す。クロアゲハはアゲハよりもやや遅く出現し、姿を消す時期も早く発生期間はやや短い。ナガサキアゲハはこれまで、九州以南で発生していたが、近年は東海地方などのカンキツ栽培地域でも見られている。この他にモンキアゲハ、シロオビアゲハなどの幼虫がカンキツに寄生する。
7~9月の幼虫発生時期に登録薬剤を散布する。苗木などの小規模の圃場では新梢に産下された卵や幼虫の捕殺を行う。
エクシレル、オリオン、ダントツ、ディアナ、フェニックス、マッチ、モスピランなど。
※掲載している薬剤(農薬)は
2022年1月末現在登録のあるものから抜粋しています。
農薬の使用にあたっては必ずラベルを確認し、地域の防除暦や病害虫防除所等の指導に従ってください。
■農薬の登録情報について
最新の登録情報はこちらのページをご確認ください。(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
■農薬の作用機構分類(国内農薬・概要)について
薬剤抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を心がけてください。
農薬の系統別分類はこちら
(国際団体CropLife International (CLI) の対策委員会が取りまとめた殺虫剤、殺菌剤、除草剤の分類表をクロップライフジャパンが日本語に翻訳:外部サイト)
RACコード(農薬の作用機構分類)
※実際の薬剤抵抗性対策については、お近くの病害虫防除所等関係機関などの指導に従ってください。
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